桐を使ったリフォーム




桐の調湿実験 :右はビンの中に桐の板を入れている。左はビンだけ。 食パンを入れて10日後の写真

桐は熱伝導率が低く軽くて柔らかくて高い

自然素材を使ったリフォームを希望される場合がありますが、その理由や目的を明確にしておかないと後で後悔に至ることがあります。
今回は自然素材のメリットやデメリットも含め考えていきます。
よく床や天井に無垢材を使うことがありますが、木の性質を考えた施工や、メンテナンスが必要になります。
建材メーカーの複合フローリングの厚みは12㎜の物が多いのに対し、単層の無垢フローリングは15㎜以上の物がほとんどです。
当然プラン段階で決めて施工しますが、工事が進んでいくと途中で変更することが困難になります。
施工方法も一般的な複合フローリングの場合は詰めて張っていきますが、無垢材は木の種類によって伸縮性に差があるのであえて板と板をすかして張ったりします。
無垢の床板を張る理由も、デザイン性や質感、高級感や断熱性など様々なので、はっきりとした意思表示をして相談することをお勧めします。

桐の特性

 桐のメリットとデメリット

実は桐を和室の床材として使うのはその時が初めてだったのですが、以前収納の内装材や天井材として使ったり、階段の踏み板として使った経験があったので知識も豊富だったのです。あるお客様のところでちょっと変わった相談を受けたことがあります。
「仏間の床も畳ではなく無垢の木材を使ってほしい」と言うことでした。
いろいろ相談した結果、和風にも合うだろうと言うことで、うづくり加工を施したを使うことにしました。
うづくり加工とは板の表面の柔らかいところを削り落とし、凹凸に仕上げた商品です。
桐は防虫効果のあるタンニンと言う成分が含まれているため、時間がたつとそのタンニンが浮き出て変色することや、柔らかい木なので傷つきやすいと言ったデメリットも説明しました。
うづくり加工にしたのは傷を目立ちにくくするためです。

の一番のメリットは木材の中で熱伝導率が一番低いことです。
つまり火に強く燃えにくかったり断熱効果があると言うことです。
昔からタンスや金庫の内張りなどに使われてきたのは、大切な着物などの衣類や紙幣、書類などを火事や湿気、カビなどから守るためだと言われています。
熱が伝わりにくく冬でも冷たくならないからと下駄などにも使われていました。
その桐特性の効果で裸足で歩いても冷たくなく、和風空間にもよく合う仏間の床に仕上げることができ喜んで頂きました。

当初は和風に合うと言う理由で竹材も候補に挙げましたが、仏間は生活での使用頻度が低いので暖房しないから熱伝導率の高い竹は不向きと判断しました。
熱伝導率の観点から考えると、床暖房をするなら桐は全く暖房効果がなく竹は暖房効果が高いと言えます。

自然木にもホルムアルデヒドは含まれている

私の経験ですが子どもが小さかった頃、近所の友人に誘われてログハウスを借りて一泊しようと家族を連れて出かけたことがありました。桐のもう一つの優良特性にホルムアルデヒドが含まれていないと言うことが挙げられます。
ホルムアルデヒドとはシックハウス症候群などで知られる化学物質で、一般的には塗料や接着剤などに含まれていると思われがちですが、自然木にも含まれているので無垢材を多用することはお勧めできません。

そのログハウス(全て自然木で組んだ家)に着いて1時間ほど経った頃、二人の子どもが目をパンパンに赤く腫らしているのに気付き、すぐに連れ帰ったことがあります。
その時はログハウスの内部に使われていた塗料のせいではないかと思っていましたが、今では木材そのものが持つホルムアルデヒドの可能性もあると考えています。

無垢材のメリットばかりを売りにした業者もありますが、無垢材と言うだけで予算も高くなり、思わぬところに落とし穴があるので十分に検討し、適材適所で使用することをお勧めしています。