屋根のリフォーム




棟に多く積まない和瓦単純施工

メンテナンスフリーの日本瓦

住宅を機能面から考えると屋根は一番大切な部位になります。
当然ですが雨漏りなどは早く修繕しないと家屋に及ぼす被害が急速に早まります。
台風の後や梅雨時期になると雨漏りに関連した相談を多く頂きますが、その相談内容の例を上げて対策を書いてみます。

目次

例1. 屋根に使われている銅板

例2. 雨漏りの意外な原因

例3. スレート屋根と酸性雨

例4. 瓦の葺き替えリフォーム

例1. 屋根に使われている銅板

瓦の屋根ですが玄関の同じ場所で雨漏りがしていると相談を頂き調査をしました。
調査の結果、玄関の上に屋根の谷があり、その銅の谷板に小さな穴が数個確認出来ました。
これはよくある原因で近年雨の酸性化に伴い、銅が酸性雨に弱いため腐食して穴が開いたと考えられます。
瓦の下流側に銅板がある場合は瓦中央部に雨が集中するため、銅の酸化皮膜が離脱して新しい皮膜が形成されなくなるからと言われています。
この家屋には銅板葺きの谷が数箇所あったのと、軒樋も銅製品で多くの腐食箇所が見つかったため、銅板の谷はステンレスに交換し、軒樋はガルバリウム鋼板製品に取替えました。

例2. 雨漏りの意外な原因

雨が降ると縁側と仏間の間にある垂れ壁の2箇所がいつも濡れて困っていると相談を受けました。
現状を確認するとその2箇所の垂れ壁の壁土が落ちている状況から察して一階屋根の半間入った追い止め付近からの雨漏りだろうと推測できました。
しかしお客様にその話しをすると私が「3社目の相談で今までの2社も同じことを言われ、その追い止め付近をコーキングして帰られたが雨漏りは止まっていない」と言われ、2回お金を支払ったので同じことはしてほしくないとのことでした。
ヒアリングを進めると風のないときの雨でも漏ることが分かり、もし追い止め付近なら2階の屋根があるので濡れることが少ないため追い止め付近の可能性は低いと言えました。
その瓦屋根に上がって調査をしても、瓦の割れやズレもなく正常と判断する以外なく、もう一度内部の雨漏り箇所を確認しようとハシゴで下りかけたとき、瓦と瓦の重なり合った隙間から小さい青いものが見えたのです。
よく見るとその青いものが2箇所あり雨漏り箇所とも一致していました。
その青いものを確認して分かったのですが、5年程前に瓦の葺き替えと漆喰壁のリフォームをした時に使用された、屋根の足場板を固定するための荷造り用PPバンドだったのです。
そのPPバンドは瓦の下流側でカットしてあったのですが、瓦から少しだけ出ていたので、サイフォン現象によって雨が上流側へと逆流したのが原因だったのです。

屋根と外壁リフォーム最後の撤去作業が招いた不手際だったのです。

お客様もその工事直後だと原因がそのリフォームだと疑われたのでしょうが、数年経ってからの雨漏りだったので分からなかったのでしょう。
ちなみに最初に雨漏り調査に来られた業者はそのリフォームをした業者でした。

例3. スレート屋根と酸性雨

築27年の住宅ですが北側の屋根にコケが生えて汚くなっているので、そのうち雨漏りがしないか心配ですが、どうするのがいいかと言った相談を受けました。
調査した結果ハウスメーカーの住宅で当時よく使われていたコロニアルと言われるスレート屋根でした。
塗装履歴もなく割れているところもあり見た目にもひどい状態でした。
当時ハウスメーカーの担当者から瓦に比べて綺麗で軽くて長持ちし、予算も安く済むと勧められたそうです。
セメント系のスレート屋根は、近年の酸性雨で化学反応を起こし劣化のスピードが速まっていて、特に北面の屋根は劣化が早く、コケが生えてしまうと雨がより長く留まるので悪循環になっています。
この状態になると塗装などのメンテナンスは手遅れと言えます。
この当時のスレート屋根はアスベスト含有屋根材なので撤去するのに通常より多くの予算が必要になります。
このお客様の場合は予算限度もあり高圧洗浄でコケを取り除いた後、ガルバリウム鋼板を上から被せるカバー工法でリフォームをすることになりました。
アスベスト囲い込み工法になるので、アスベスト飛散リスクも減り、工期も短く予算面で考えても最も効率のいいリフォームです。
しかしアスベスト含有スレートを置いたままなので、解体時などいずれその時が来ればその分の予算が必要になることを説明しておきました。

「スレート屋根ほど高い屋根材は他にない」

例4. 瓦の葺き替えリフォーム

「築45年の住宅を親から引継いで住もうと思うのですが、瓦のズレているところが目立つので、瓦の葺き替えがしたい」と相談を受けました。
瓦がズレた原因はその当時の銅線止めの工法で瓦が安定しない上、積雪によるものです。
お客様の要望は「地震に強く、長寿命なもので提案してほしい」とのことでした。
ガルバリウムやステンレスなどの金属屋根材も含め一通り説明した後、予算やお客様のご要望に合った和瓦でご提案することにしました。
瓦は他の屋根材に比べ重いので、棟は何重にも重ねるようなことはせずに、のし瓦一枚で仕上げる単純で軽くする工法で納得して頂きました。
のし瓦を積まないことで、それに必要な土や漆喰がほぼ不要で瓦以外のメンテナンス費用も掛かりません。
10年程度で経年劣化を補う塗装工事が必要な金属などの屋根材はその都度足場工事が付いてくるので高額なメンテナンス費用が掛かりますが、元々和瓦は経年劣化が少なくメンテナンスフリーと言え、将来の塗装などを必要としないことから長い目で見ると予算効果の高い商品です。
今の瓦施工は桟とステンレス釘で固定するので、積雪で瓦が動く事も少なくなりましたが、もし不安なら台風や積雪なども対応する火災保険に入っておけば万全です。

この和瓦の単純施工が私の一番にお勧めする屋根リフォームです。

近年耐震の関心が高まり、軽い屋根に注目が集まり気味ですが、災害は地震の揺れだけではなく津波や台風での土砂災害など、立地条件だけでも大きく変わります。
メンテナンスフリーの和瓦単純施工は予算効果の最も高い屋根リフォームではないでしょうか。