ニッチを攻める(業者向け)




自分にしかできないサービスに徹した

前回のニッチの提案でも書いていますが、ニッチとはくぼみや隙間を意味する言葉です。
今回は壁を凹ませて作るニッチではなく、マーケティング用語で使われるニッチについて考えて見ようと思います。
このニッチはくぼみと言うより狭い隙間と解釈する方が分かりやすいと思います。

全国にはリフォーム会社が多く存在しますが、自分のマーケティングエリアだけを見ても競合他社の営業マンや自社の先輩営業マンなど、競争して勝っていかなければならないライバルは多いはずです。
もしまだ入社して一年にも満たない営業マンがそんな力のあるライバルたちに最も早く勝とうとした時、何をどうするのがいいのか分かるでしょうか。

ほとんどのライバルに経験や資格、知識などの能力で劣る中、その能力に追いつこうとしても明らかに長い時間を要し、いつになったら勝てるといった根拠も持てません。
そんな時、「ニッチを攻める」マーケティング戦略を考えてみてほしいのです。

ニッチを攻める戦略なのでライバルたちに全てにおいて勝つ必要などなく、自分の一番得意な事で一つだけ勝てばいいのです。
それではリフォーム営業でニッチを攻める戦略で成功した事例を紹介します。

自分にできる事を探した結果!

初めて住んだ地域でリフォーム会社に入社して営業をすることになった若い男性の話しです

前職は貿易関係の会社で営業を6年していましたが、海外赴任辞令が出て家の都合で退社。
絵を描くことが好きで今までも休日は外でデッサンをして過ごすほどの趣味を持っている。

まだ20代後半なのと建築に携わった経験がなく自信もないのでリフォーム営業の能力は皆無に近い状態と言えました。
この若い男性の強みは前職の会社で、多種な研修やセミナーに多く参加していて営業プロセスの知識が豊富だったのと、絵を描くのが人より上手だった点でした。

そんな彼が取った行動は徹底した高齢者の訪問でした。
決して高齢者を狙った悪質な営業ではなく、高齢者の困り事を探して廻ったのです。
彼曰く「とにかくお年寄りに喜んで頂くために出来る事は何でもやりました」とのことです。
トイレのウォシュレットが動かないと言われるので見に行けば電池切れと思われたので、ホームセンターまで行き電池を買って来て交換したり、ダイニングテーブルの脚がぐらついていると言われれば道具を借りてきて自分で直したりしました。
とにかく何でもお年寄りが困っていたら意識して笑顔ですぐに行動したのです。
しかも自分で解決できた事は全て無料でやりました。
そんなお年寄りにお願いしたのはご近所や知人のお年寄りを紹介して頂く事でした。
入社して10ヶ月目に初めて大きな仕事の見積依頼を受けたのは、よく行っていた老夫婦の息子さんからでした。

定年退職を機に実家に帰って両親と暮らすとの理由でリフォームの相談を受けたのですが、既に御両親からの信頼が厚い彼が特命で指名を頂いたのです。
この最初の仕事の間取り相談をしたとき、スケッチブックに色鉛筆で立体的に家の絵を描きながら行ったのが分かりやすいと喜んで頂いたので、それからはフリーハンドで描きながらの打ち合わせが彼のスタイルになりました。
実はこの時彼はCADが使えなかったのです。

そして彼は入社して3年目にはその会社でも無くてはならない存在になりました。
知識も経験もない彼が最短でライバルに勝てたのはニッチを攻める事に徹したからと言えます。
彼が攻めたニッチとは高齢者の困りごとに最短で気持ちよく対応したことです。
このことだけに関しては自分がトップだと言う自負があったと言います。
その後リフォーム工事の引き渡しで、笑顔のお客様の似顔絵をプレゼントすると言う付加価値も加えてお客様の満足度は期待以上に跳ね上がったようです。