落ち着く家と落ち着かない家の違い




落ち着く部屋にするためのポイントも

以前にも「落ち着いた部屋と音の関連性」で書きましたが、もう一度このテーマを「落ち着いた家と落ち着かない家の違い」と題して取り上げてみます。
家に居て落ち着かないとイライラがストレスになり情緒も安定しなくなって、ひどい場合は体調にも悪影響を及ぼすこともあるので安易に考えないことです。


1. 家は一番落ち着く場所でなければならない

2. 落ち着く部屋と落ち着かない部屋の条件

3. 部屋の反響度合いを確認する

4. 落ち着く部屋にするための三つのポイント

5. 片付けを間違って落ち着かない部屋になっていないか

1. 家は一番落ち着く場所でなければならない

家は一番落ち着く場所でなければならないのに、せっかくの休みでも家に居ると落ち着かないとか、子どもや夫婦で話しをしていてもつい声が大きくなってイライラするといったことが近年増えてきています。

その原因が家にあるとは気づいていない場合がほとんどですが、そんなストレスが重なれば病の原因にもなりかねないのです。
昭和30年代には無かったと思えるストレスの原因は住宅の欧米化によるものと思われることもあります。
昔の家は畳に障子、土壁でだだっ広い部屋のイメージでしたが、床はフローリング、壁天井はビニールクロスで6帖間の狭い部屋が持てはやされる時代に変わっていったのです。
畳や障子は音が吸収されて反響しませんが、フローリングやビニールクロス壁はよく反響します。

もちろん音だけではなく部屋の色や明かりの色によっても落ち着きの度合いは変わります。
明るい白より濃い目の色が落ち着き、夜は真昼のように明るく光る白い照明より少し暗く感じる淡い電球色の方が落ち着きます。
また部屋も広いより狭い方が落ち着くのは、広すぎるトイレに入れば落ち着かないことで実感することができます。

例えば物が何もないくらい片付いた生活感の少ない部屋と、多くの物で溢れた部屋ではどちらが落ち着くでしょうか。
散らかっていないとすれば物で溢れていた部屋を落ち着くと感じる人が多いのではないでしょうか。

どちらの家が落ち着くでしょうか?
     

2. 落ち着く部屋と落ち着かない部屋の条件

落ち着くと感じる部屋の条件
・反響しない静かな部屋

・部屋に濃い色があること
・夜は明るくない部屋
・広くない部屋
・物が多く見える部屋

落ち着かないと感じる部屋の条件
・反響して大きな声でないと伝わらない部屋
・壁や天井が白く病院のような部屋

・夜も昼白色の照明で明るい部屋
・光の反射が大きい部屋
・だだっ広い部屋
・生活感のない何もない部屋

いかがでしょうか?
こうして具体的に拾い出すと最近の家づくりが決して落ち着いた家にしたいと言った要望ばかりでないことが分かります。
この条件も人によっては正反対の意見を持っている人もいらっしゃるし、一概にこれが正解とは思っていませんが、特に私のような田舎育ちの昔人間には共感して頂ける気がしています。

そして現在人の要望には天井の高い広い部屋を好み、大きなガラスを埋め込んだ窓によってより反響する部屋を好む人も多いのが、最近のハウスメーカープランに表れています。
そしてそんな大きな窓に限って吸音する布地のカーテンではなく塩ビ製のブラインドがデザインされていたりします。

このような落ち着き度合いの感じ方には年代や好みによっても違ってくるでしょうが、もっとも落ち着かないと感じるのはやはり音の影響です。

床はフローリングで壁と天井はクロスの部屋が出来上がり、まだカーテンも設置していない部屋で会話をしてみれば、相手の話しが反響によって聞き取りにくいのを体感できます。

その部屋の中で毎日家族と生活をする想像をしてみて下さい。

この場合は半端ではないストレスを感じるはずですが、布地のカーテンやカーペット、ソファーなどを置いていくとそれらが吸音して反響が和らいできます。

特に小さな子どもがいる家庭にとって、反響による母親のストレスは見過ごせません。
子どもが高い声で天井に向かって泣けば、反響によって何倍にもなって返ってくるとも言えるからです。

建築と音については音楽ホールやスタジオなどの専門業者でない限りまだまだ重要視されていないので、一般の建築業者やリフォーム業者では音のことなど考えもしていないことがほとんどです。
しかし言語化できないようなイライラやストレスの原因が、家の反響音や外部からの侵入音にあるとしたら、少しでも軽減しておく必要があります。

情緒が安定するような静かな暮らしを望むなら、反響や外部音の侵入が少ない家づくりをお勧めします。

3. 部屋の反響度合いを確認する

部屋の反響が大きく落ち着かない部屋になっていないか、確認してみましょう。
部屋の中央付近に立って両手でパチンと手を叩いてみます。
吸音できていない部屋なら残響音が残ります。

残響具合を知るために違う部屋でも手を叩いてみましょう。

一番残響音が大きいと実感できるのは浴室やトイレです。
その原因は部屋が狭いのと吸音してくれる物がないからです。

4. 落ち着く部屋にするための三つのポイント

・反響をなくす
・お気に入り雑貨で部屋を飾る
・濃い色のインテリア雑貨で光を吸収する
これらは音と色、生活感を変えることによって落ち着く部屋に変えるためのポイントです。
どうせなら一度にこの三つのポイントを考えながら落ち着く部屋に変えてみましょう。

先ず反響を減らすには吸音してくれるインテリア雑貨が効果的です。
具体的にはカーテンやラグマット、織物雑貨やソファーなどです。

できるだけ気に入った雑貨で部屋を飾ると目に入る物が多くなり心が落ち着きます。

それらのインテリア雑貨の色を選ぶ場合は、出来るだけ濃い目の物を選ぶ方が落ち着いた部屋になります。
その理由は明るく薄い色の物より、濃い物の方が光を吸収してくれるからです。
濃い目の色の織物雑貨を窓際に置くのも良し、目にやさしい濃い目のグリーンのラグマットを床に敷くのも良し、カーテンを選ぶ時は濃い目でドレープ(ヒダ)が大き目、サイズも大きめの物を選ぶのも効果的です。

この三つのポイントを意識した部屋づくりで落ち着いた生活を演出してください。

※合わせてお読みください

近年特に若い世代に好まれているホワイトインテリアのお洒落な部屋に人気が高まっています。 しかしその白基調インテリアにデメリットが隠れていることを疑う人は少なく、住宅メーカーでも好んで特集が組まれていたりします。

5. 片付けを間違って落ち着かない部屋になっていないか

散らかった部屋が落ち着かないのは誰にも共通していると思われがちですが、そうとも言いきれません。

想像してみて下さい。
散らかった部屋と生活感を感じさせないほど何もない部屋とではどちらが落ち着かないでしょうか。

「片付けとはしまうこと」要はその部屋からなくしてしまうことと思っている人は少なくありません。
他の記事でも「片付けるとは方を付けること(ケリをつけること)」と書いた記憶もありますが、それはあくまで心が動かなくなった物を処分するという意味です。

また他では「片付けるとは収納にしまうことではなく収納から出すこと」といった記事を書いたこともあります。

つまり気に入った物が見える部屋にすることが、落ち着いた部屋にする近道だと言うことです。
上の日本家屋の写真も庭が見えるから落ち着くのであって、何も見えないなら落ち着かないでしょう。

気に入って買った物を見て暮らすことで、心を豊かにしてくれるでしょう。

※片付けに関する記事

片付ける秘訣や片付かない人の勘違いを詳しく紐解いてみた。 多くの家を見てきたから分かる片付かない人の心理状態。 1. 片付けようと思うから片付かない 2. 心を動かすのが片付けのコツ 3. 片付かない散らかりリバウンド 4. 収納しようと思うから片付かない 5. 物がない部屋より物が見える部屋の方が落ち着く