乳幼児に安全な家づくり




安全な我が家に潜む乳幼児の危険を探る

家の中に潜む危険から乳幼児を守るには

厚生労働省のデータによると、不慮の家庭内事故による死者は交通事故死の2倍以上となっています。
当然、死亡には至らなかったがケガをしたといった事例は後を絶ちません。
家庭内事故のリスクが高い年代は乳幼児や高齢者なのですが、特に乳幼児は思いがけない原因で事故に遭うことも少なくありません。

ロック機能を知っているだけで防げた事故は多い

そして乳幼児に多いのが浴室での溺死や転落です。
入浴中は親が注意をしているのですが、日中浴槽に湯を張りっ放しにしてある所に幼児がはっていって誤って浴槽に転落といった事例も多くあります。
浴室に入れないようにしていれば防げた事故なので悔やまれますが、今のユニットバスの入り口建具には必ず乳幼児の手が届かない所にロックが付いています。
しかしこの機能を使われている人が非常に少ないと思われます。
浴室入り口引き戸のロックとサッシクレセントの2重ロックの写真です。
    
他にもサッシのクレセント(アメリカの金物メーカーの社名)と言われる鍵にも一度では開けられないロック機能がありますが、使われている人は少ないと言われています。
特に小さな子どものいる家庭ではこのような安全機能を再度確認して使用することが望ましいと言えます。

デザイン重視より安全重視

これから結婚して新居となる家をリフォームしたり新築する場合は、後に子育てをすることを想像して幼児の安全対策を考えなければなりません。
子どもが生まれるまでに新居を作る時、ほとんどの場合は幼児の安全に対する配慮が疎かになりがちです。
新婚生活の夢ばかりが優先されて、デザイン重視でプラン設計されることが多いのですが、デザイン優先ではなく安全優先が望ましいのです。
例えば階段や窓からの乳児の転落事故防止や、窒息防止で小さい物が床付近に散らばらないための工夫などです。

家が出来上がってからも注意することは多くあります。
例えば窓下に幼児が登れそうなローボードなどを置くことは非常に危険です。
それに加え窓を開けて網戸状態も更に危険度が増します。
このような事は、子どもが生まれる前に危険性を感じることができないため、子どもが生まれてからもついつい放置しがちになるのです。

子どもを家庭内事故から守るために想像してみましょう

想像してみて下さい。
2階の窓下に置いてあるローボードに上って窓に背中を当て遊んでいます。
窓は開いていますが網戸が閉まっているので、幼児にしてみれば背中を押しあてるとボヨンと跳ね返るので楽しいと感じます。
幼児に網戸の強度を知る由がないので考えるだけで身の毛がよだちます。

更に家電製品の危険も見逃せません。
炊飯器から上がる湯気に好奇心を抱く幼児がいたとしてもまったく不思議ではありません。
その炊飯器の横に電気ケトルが熱湯を溜めていて、ダイニングチェアがあれば手の届く位置ではないでしょうか。

労働災害が多い工事現場で真剣に取り組まれているKY(危険予知)活動などと同じような事を家庭内で取り組んでもおかしくないほど、家庭内事故が多いことを認識しておかなければなりません。
大切な子どもを交通事故だけでなく家庭内事故から守るために一度考えて見る意義は深いと言えます。

何も家庭内事故が今になって始まった事ではなく、昔から起こっていた事なのですが、交通事故のように加害者がいるわけでもないので公表されることがなく分からないだけなのでしょう。
私の子どもがまだ小さかったころ、床下収納の蓋に手を挟まれた記憶があります。
さほど大した事にはならずに済んだのでよかったのですが、あの時はまさか小さな子どもが床下収納に興味を示すなど考えもしないことでした。
しかし今考えれば、押さえてひっくり返る収納蓋の取っ手に幼児が興味をしめすのは最もだと思えるのです。
床下収納取っ手とロック付きドアストッパーの写真です。
    
家の中は安心と思わず、家庭内事故の危険性について一度真剣に考えて見ることをお勧めします。
特に乳幼児がいる家庭では、風の力で閉まるドアなども危険なのでロック付きドアストッパーに交換するなど、ちょっとしたことで事故のリスクを下げることができるので考えてみましょう。