家が落ち着かないのは音のせい?




Hamed MehrnikによるPixabayからの画像

住まいの音がストレスの原因になっていないか!

住まいを考える場合に音のことはあまり重要視されていません。
新築やリフォームのプランを考える時も熱や光のことは重要視されがちですが、音に関しては問題視されないことの方が多いのではないかと思えてなりません。
しかし住まいの音はストレスの原因になり、それが基で聴覚過敏やうつになることもあります。
新築やリフォームは基より、今住んでいる家が落ち着かないと思えるなら一度音について見直してみることをお勧めします。

1. 住まいの音の種類
2. 音が及ぼすストレス
3. 生活音が原因で陥るストレスの罠
4. 新築やリフォームで外部音を軽減する方法
5. 今住んでいる部屋の遮音性や吸音性を上げる方法

6. 本人は気付いていない隣人の迷惑音
7. 住まいと音のまとめ

1. 住まいの音の種類

住まいの音は大きく二種類に分けることができます。
それは外部音と内部音です。

・外部音
外部音とは車の音や電車の音、近隣工事や近隣の生活音などです。
家を建てる時やアパートを借りる時、鉄道や幹線道路から聞こえる音の大きさは気になるものです。
近隣の生活音とはシャッターを開け閉めする音や子どもの泣き声、ペットの鳴き声や人の声などです。

近隣の生活音でもこれらはお互いさまと言えるような音ですが、中には異常とも言えるテレビやステレオの音、洗濯機や目覚まし時計、怒鳴り声や子どもを叱りつける声など非常識からくる近隣生活音も外部からの侵入音ということになります。

・内部音(生活音)
生活しているとあらゆる音が発生します。
キッチンでは水を出した時の音やテレビの音、子どもの泣き声や二階から聞こえる足音まで日常的に聞こえる音は様々です。

これらの生活音は家族が生活している証しとも言え、予測している音なので習慣化していて情緒に与える影響も気付かないのが普通です。

2. 音が及ぼすストレス

家の内部から聞こえる生活音と外部から侵入してくる音が与えるストレスでは、外部音でも予測できない音には過敏になりがちです。
近隣の怒鳴り声や大きな音を出して通り過ぎる車の音などは、予測していないためストレスも大きく迷惑だと感じるからです。

しかし習慣化している屋内の生活音でも、気が付かないだけでストレスの原因になっていることは稀ではありません。
例えばキッチンでも最近は静音シンクになっていますが、シャワーで水を出せば相当の音が発生します。
奥様が食事後の片付けをするのにシャワーで水を出せば、同じ部屋のリビングでテレビを見ている夫が徐々にボリュームを上げるといったことも多く、この場合はどちらもストレスを感じています。
夫はテレビの音が聴き取れにくいストレスを感じ、奥様は見てもいないテレビの音にストレスを感じたりします。

育児ノイローゼは出産によるホルモンバランスの崩れや睡眠不足が原因とされていますが、このような時も聴覚過敏やうつ症状が現れます。
特に赤ちゃんの夜泣きや授乳で睡眠不足が続き、パニック状態になる母親は多いと言われます。

その他でも洗濯機が古くなり振動が激しくなって音も大きくなり、その原因に気付かずイライラしたり、部屋の反響が大きく夫婦間の会話がチグハグして喧嘩に至ることもあります。

3. 生活音が原因で陥るストレスの罠

以前にも「白基調のインテリアに警告」という記事で書きましたが同じようなことが生活音でも疑うことができます。

・家に帰ってもなぜか落ち着かない。
・夫婦喧嘩が多くなった気がする。
・子どもを叱る回数が増えた。
・意味もなくイライラする。
・赤ちゃんの夜泣きがひどい。
・家に居ると落ち着かない。
・赤ちゃんの疳の虫が暴れる。
・幼児が落ち着かない。
・休日でも疲れが取れない。
・不眠症の原因が分からない。
・寝つきが悪い。
・年老いた親の認知症が進んだ。
・なぜかいろんな不安を強く感じる。
・情緒が安定せず、いつも苛立っている。
・育児ノイローゼの原因が分からない。
・音に過敏になっている。
・夫婦の会話がチグハグする。
・相手の言葉が聞き取りにくい。
・家族の声が大きくなった。

このような原因が全て生活音の影響だとは断言できないものの、白い部屋と同じように緊張の要因になっている可能性は縫えません。
夫婦喧嘩の切っ掛けは「話しかけたのに無視された」「イライラしているのに大きな声で話しかけた」などの些細なことが原因になったりします。
夫婦の会話がチグハグして喧嘩が増え性格の不一致として離婚まで追い込まれるとしても、その根源が部屋の音にあるなど想像もしないことなのです。

4. 新築やリフォームで外部音を軽減する方法

今から新築したりリフォームをする場合は、断熱性能と同じように遮音性能を上げることは可能です。
外部に面した壁の遮音性を上げる方法は、遮音シートやボードを二重張りするなどである程度の効果が見込まれます。

特に電車の音などの侵入を減らしたいときは、その方向の窓は小さめにしてペアガラスの窓にし更に内窓を設置すると効果が上がります。

断熱材も軽い発泡系のスタイロフォームやウレタンフォームより重いロックウールの方が遮音効果は上がりますが、断熱効果と遮音効果は別物なので注意が必要です。
構造も木造や鉄骨構造よりRC造(鉄筋コンクリート)の方が遥かに遮音性能は良くなります。

遮音だけを考えるなら、一般的には重い材料ほど性能が良くなると覚えておくといいでしょう。

5. 今住んでいる部屋の遮音性や吸音性を上げる方法

今住んでいる部屋を落ち着くようにするために、吸音性や外部からの侵入音を和らげたい場合は先ずカーテンを見直すべきです。

窓自体もアタッチメントペアガラスに交換し、更に内窓を設置すれば外部音の侵入には効果が上がります。
その上でカーテンを大きめの厚地の物に取り換えれば効果が上がります。

生活の反響音を軽減する場合はカーテンは大きければ大きいほど効果が上がり、窓の大きさに合わすのではなく窓面積より何割か大きめのカーテンを設置します。
更にカーテンのドレープも多い方が吸音性能が上がり反響を押されることができます。

特に赤ちゃんを寝かせる部屋などは、カーテンや布地の雑貨などで吸音することがお勧めです。

リビングなどでは吸音ができていないと反響して落ち着くことができません。
木質フロア(フローリング)の床に壁天井がクロス、大きな窓ガラスだと吸音しないと反響が大きく落ち着かないのです。
そんなリビングでは赤ちゃんや幼児の泣き声が反響して何倍にもなって聞こえるので、ストレスの原因になることは間違いありません。

しかし毛足の長めのカーペットやラグマット、ドレープの多いカーテン、布地の雑貨などによって吸音すれば反響を抑えることができ反響音からのストレスを軽減できます。

6. 本人は気付いていない隣人の迷惑音

早朝の出勤や深夜の入浴に注意が必要なのは、本人の気付かない内に隣人に迷惑を掛けていることもあるからです。

実際に私が受けた相談ですが、「隣人の車庫のシャッター音で熟睡できない」と言った内容でした。
詳しく話しを聞くと、隣人ご主人が早朝に車で出勤されるため毎朝4時ごろ車庫のシャッターを開け閉めされるようで、その時にガシャガシャっという音と共にキーという甲高い音がしてその音で目が覚めるのだそうです。

古くなったスチールシャッターにはよくある音なので、おそらく長年開け閉めしている本人には気付いてないだろうと思われました。
その隣人の車庫がその方の寝室と距離がないこともあり、早朝4時では目が覚めて当然だと感じました。

取り敢えず寝室の窓のガラスだけをアタッチメントペアガラスに交換し、窓枠を利用してペアガラスの内窓を設置してみることを提案しました。
それでも効果がないなら窓より面積の広い遮音カーテンを取り付けることでも効果が得られると付け加えました。

これらの提案は隣人に原因があるとはいうものの、「直接言うのは隣人というだけに人間関係を悪くしたくない」とその方の意思があっての判断でした。

その他にも良く聞くのが隣接した家のボイラーの音です。
夏季に網戸で寝ていると深夜にゴーというボイラーの音が迷惑だといった内容ですが、深夜に入浴している本人に自覚がないのが一般的です。

できれば原因の音を軽減して頂くのが本筋なので、関係を悪くしない程度に伝えることができればベストです。
増改築など工事の音で迷惑を掛ける時は近隣に伝えて了解を得れば「お互いさま」ということで問題になることは少ないのですが、このような場合も普段の近隣コミュニケーションが取れていると防音以上の効果を得られると言ってもいいでしょう。

7. 住まいと音のまとめ

生活音や外部からの侵入音は、見落としがちなストレスの原因になります。
防音(遮音と吸音)は、落ち着いた暮らしに直結した住まいに求められる要素でもあります。

もし家に帰っても落ち着かないようなときは、音に原因がないか考えて見ることをお勧めします。

赤ちゃんの夜泣きなども、床にカーペットやラグマット、ソファーやクッションだけで効果が少ないようなら天井に布を垂らし張りするなどの工夫がストレスを和らげることに繋がります。
天井や大きなテラス窓が反響版になり、落ち着かない部屋になっていることも稀ではありません。

特に子育て中の家庭で育児ノイローゼなどが気になるような心当たりがあれば、音が原因していないか見なおしてみることをお勧めします。