長く使うならスタンダードキッチン




高いキッチンを買う必要がないのは?

「なぜキッチンリフォームは高くつくのか」「どうしたらコスパのいいキッチンリフォームができるのか」などの疑問から、今回はキッチンの考え方をテーマにしてみました。
「キッチンリフォームをしたら予想以上に予算が掛かってしまった」「このキッチンを買えばきっとスッキリ片付くだろう」といった思い込みや先入観をなくすために読んで見て下さい。

キッチンとは一番お金の掛かる部屋

当然ですがキッチンとは毎日料理を作るところです。
そして一番綺麗であってほしいところでもあります。
ところがそのキッチンが片付いていなかったり汚れていれば、たちまち料理をするモチベーションはさがり生活の糧を失くすことにもなりかねません。

キッチンとは台所のことですが、もうひとつのキッチンの意味はシステムキッチンに代表されるようなシンクやコンロが備わった台そのものを言います。
その場合冷蔵庫や水屋棚(食器棚やカップボードのこと)は省かれますが、リフォームをする場合はそれらのものを省いて考えることはできません。

家の中ではどの部屋より物が多くあるのがキッチンです。
家電製品や調理器具、食器などの数を想像してみると、他の部屋とは比べることもできない数がキッチンに集中しています。

つまりキッチンは他のどの部屋よりもお金が掛かり、最も収納が必要な部屋と言うことになります。

キッチンこそ物を減らさなければならないところ

どの部屋よりも多くの物で溢れているキッチンは、どの部屋よりも物が増えやすい性質を持った部屋でもあります。
調理が簡単にできる家電や汚れが付きにくいフライパン、お洒落な食器や美味しそうな食材、頂きものの調味料や非常食など挙げれば切りがないほどです。

このように増え続ける物を片付けておくためにはありとあらゆるところに収納を作ったり、カップボードを設置しなければなりません。
どれだけ収納を作ろうと収納のアイデアを考えようとしても、物が増え続けたのでは埒があかないのです。

キッチンをスッキリさせる一番のコツは物を減らすことに尽きます。
キッチンメーカーもこれまで収納量や収納の容易さなどをアピールしてきましたが、それは一般的にどの家でもキッチンに物が溢れていることが常識だったからです。
そのために高額なキッチンが売れていたのです。

キッチンの金額は掃除や片付けの容易さで決まっている

日本の住宅用キッチンで最もシェアの高いLIXIL、タカラスタンダード、クリナップのキッチン製品は何を基準に金額設定をしているのでしょう。

もちろんデザインや使っている材料を変えて付加価値を上げている要素はありますが、最も大きな要素が掃除や片付けの容易さなのです。
タカラスタンダードがホーロー素材を使うのもクリナップがキャビネットにまでステンレスを使うのも掃除の容易さをアピールして高額なキッチンを売るためなのです。
もちろんLIXILも他のメーカーにはない収納の容易さを売りにしています。

クリナップのキャビネットを見れば分かりますが、安価なキャビネットにはステンレスが使われていません。
タカラスタンダードの家事楽シンクはキッチンを汚さない工夫がされた優れものですが、これも安価なランクのキッチンには付いていません。
LIXILのよごれんフードはファンを取り外して掃除をしなくてもいい換気フードですが、冷蔵庫が買えるほどの金額です。
他にもエンボス加工のシンクやダウンウォールと言われる吊り戸収納も然りです。

とにかくどのメーカーもキッチンで収益を上げるために収納にこだわり掃除の容易さを研究しています。
キッチンメーカーが大半の人は片付けや掃除が苦手だと認識している証しでもあります。
言い換えれば物を減らして収納や掃除を楽にすればそんな高価なキッチンは必要がないと言うことでもあります。

キッチンリフォームが他の部屋より高くなる理由

家具量販店などに展示してあるキッチンを見ればシンクやコンロ、レンジフードがセットになった商品が20万円~などとなっています。
つまりカップボードや家電収納、吊り戸棚などはその金額に含まれていないということです。

キッチンリフォームをする場合は組立費もその20万円に含まれてはいませんが、その金額も決して無視できない金額だということを知っておくべきです。

システムキッチンを注文した場合、展示してあるような形のまま家に運ばれてくる訳ではありません。
天板、キャビネット、キャビネットの扉、IHクッキングヒーター、食器洗浄機、レンジフード、サイドパネル、幕板など多くの商品に分けてバラバラになって入荷されます。

それらの部材を組み立てるのですが、リフォーム会社によって関連会社の職人が組み立てる場合やキッチンメーカー専属の業者が来て組み立てることがあります。
もちろん料金はバラバラでメーカー施工の場合は高額商品ほど組立料金も高く設定してあります。
キッチンを自分で組み立てることも可能ですが慣れていないと簡単ではありません。

そしてキッチンだけではなくカップボードや家電収納も購入すれば組立費が加算されます。
タカラスタンダードに至ってはキッチンパネルもメーカー施工が標準になっています。
ホーローで磁石が使える理由から使い勝手はいいのですが、施工費が高いのがデメリットです。


量販店などで展示してあるキッチン価格を見て「キッチンリフォームは意外と安いんだ」と思わないことです。

代替品もなくなる家電製品とは

キッチンリフォームをするときに忘れてはならないことが家電製品は寿命が早く来るということです。
もちろん使い方などによる個人差や個体差はありますが、各メーカーの修理用部品保有期間から考えると概ね10年というのが一般的な家電寿命と言えるでしょう。

しかしキッチンリフォームをするときはこのことを忘れ勝ちになっています。
家電もシステムキッチンと同じ期間使えると考えてしまうのですが、システムキッチンを10年で買い替える人は少数派です。

システムキッチンにビルトインされているIHクッキングヒーターや食器洗浄機は家電製品なので1度か2度は入れ替えして使うことになると言うことです。

キッチンリフォームで特殊な製品を選んでしまうと、後になって必要以上の予算が加算されることがあると言いたいのですが、特殊な製品とは高額なランクによくあるものです。

例えばTOTOのフラットコンロもそのひとつでした。
鍋をゴトクから外して置いても傾くことがない使い勝手のいいものでしたが、2020年に後継機種が廃番になっています。

このような画期的と言われるアイデアを取り込んだ製品ほど高価でメーカーもその使い勝手を売りにして販売しますが、年数が経つと代替品もなくなって困ることになります。

逆に言うと安価な商品ほど規格がスタンダード(標準)で交換部材も見つかりやすく長く使えると言うことです。

まとめ

キッチンへのこだわりは人それぞれなので一概に言えることではありませんが、知識が変われば考え方やこだわり方も変わるものです。
冷蔵庫が買えるほど高価な掃除をしなくてもいいレンジフードも、耐用年数が10年と聞いてもなお買おうと思うかそれとも思わないかです。
聞くと教えてくれますが耐用年数を積極的に説明するショールームは少ないでしょう。

コスパにこだわるなら先ずはキッチンから物を減らすことで収納や掃除を容易にすることです。
掃除を容易にすることでキッチンを清潔に保て長く使えることになります。
物を減らすことで収納にこだわる必要がなくなり高額なキッチンも必要なくなります。

もし故障した時に部品だけ交換できたり、安価な代替品で賄えるようにして長期間使いたいのなら特殊な高額商品は選ばないことです。