クレーム予防

クレームの原因から成長を樹木に例えた図

クレームの種は至る所に落ちています

リフォームの仕事で得たノウハウの中で最も有益な知識がクレーム予防です。
「リフォームにクレームは付き物」と言われるのには理由があります。
その理由は多くありますが、一つはお客様と長い時間多くの人が直接関わることにあります。
長い工事になると3ヶ月以上もお客様の家に出入りすることにもなり、多くの職人が対応することになります。
また現場での物作りという面では、工場生産と比べクウォリティーに限界があるので、お客様との認識の差がクレームを生むこともあります。

どんな仕事でも人と関わる仕事には少なからずクレームが付いて回りますが、それを回避しなければ仕事に大きな影響を与えると言って間違いありません。
現在NETなどで調べてもクレームが発生してからの対応は多くの記述がありますが、クレームの予知や予防に関してはまだまだ少ないのが現状です。
事故災害防止での危険予知のKY活動や職場環境維持改善の5S活動などは多くの企業が取り組んでいますが、クレーム予防の概念からは少し離れています。

クレーム予防を見直すメリット

・営業利益増(クレーム対応による予算が直接営業利益を減らす)
・ストレス軽減(クレーム対応によるストレスは他のどの仕事より大きい)
・お客様満足度アップ(お客様の信頼を得ることにより紹介やリピートに繋がる)
・倒産リスク軽減(大きなクレームになると企業倒産を誘発する)

クレーム予防のポイント

・クレームに必ずある原因を察知して取り除くことで、多くのクレームから回避することが可能です。
・クレームの原因は見えないところに静かに潜んでいます。
・小さなクレームの原因は放置すると大きく成長します。

クレーム予防の実践

クレーム予防のポイントを踏まえ実践してみましょう。
私はいつもクレームを樹木の成長に例えて解説しています。

1. クレームの種探し
2. クレームの種が芽を出す
3. クレームの芽が成長する
4. クレームの木が大きく成長して大木になる
5. まとめ

1. クレームの種探し

樹木の種と同じようにクレームの種は至る所に落ちていますが、意識して探さないと見つかりません。

例えばリフォームの場合、運送屋さんが持ってきた材料を外に置いていて少しでも雨に濡れた場合はどうでしょう。
業者は少しぐらい大丈夫と思っていてもお客様から見れば「何で濡れた材料を使うの」と思うでしょう。

少しの間だからとお客様の隣の家の前に断り無しに車を置いた場合はどうでしょう。

お客様から見れば「もう少し気を使って」と思うでしょう。

工事現場の近くに空き缶が落ちていました。

たとえそれが自分たちが捨てたものでなくても疑われる可能性があります。

私がたまに行くフランチャイズの焼肉屋さんでランチを頼んだとき、料理の入った小鉢を重ねて持ってくる店員さんがいます。

料理に直接小鉢の裏が付いてなくても、それを見れば食べる気にはなりません。

運ばれてきた料理に向かって説明をする店員さんを見て、唾が料理に入らないか心配するのは私だけでしょうか。

そんな些細で本人には気付いていないようなこと全てがクレームの種と言えます。

2. クレームの種が芽を出す

クレームの種をお客様が3つ先に見つければ不信感となり、そのことをクレームが芽を出すと言っています。

お客様が見つけるまでに先に種を拾っておけば芽を出すことはないでしょう。
雨に濡れそうな材料が外に置いてある場合は、それを使用する大工さんでなくても屋内に持って入るとか、指示を出して注意を促す必要があります。
現場近くに落ちている空き缶やゴミを拾わなかった場合、捨てたのはあの現場の人たちなのではと疑われ印象が悪くなりますが、拾うことで疑われるどころか好感度が上がります。
料理の入った小鉢を重ねて運んでいる様子に違和感を持った他の店員さんが、指導をすることでクレームの種を拾ったことになります。

3. クレームの芽が成長する

クレームの種が芽を出したときも、放っておくと成長します。
もしお客様が4つ目の種を見つけてしまったとき、不信感がクレームの言葉となって返ってきます。
ここがストレスを感じたり、クレーム対応予算が出る境目となります。
クレームの木がまだ小さい内は自分一人で対応することができます。
お客様に謝罪をして納得して頂けるように行動することで、小さなクレームの木を引き抜くことも可能です。

4. クレームの木が大きく成長して大木になる

お客様に指摘されてもすぐに対処しなければ、クレームの木はどんどん成長して大木になります。

こうなればもう自分一人の力で引き抜くこともできず、多くの人に力を借りることになるので、大きなストレスと共に大きなクレーム対応予算が必要になります。
その予算は種のうちに拾っておけば必要ないものなので、全てが営業利益から出て行くと言えます。

5. まとめ

仕事をしている現場で自らクレームの種を探すようにしましょう。

クレームの種は探さないと見つかりません。
誰にでも働いている現場はあります。
建築業の場合は建築現場、飲食業や小売業の場合は店舗など、製造業の場合は工場となります。

クレームの種は見つけにくいため、それが例え自分の仕事とは関係なくても現場で働く全員で探します。

案外自分に関係ない種のほうが目に付くものだからです。
それぞれの現場で五感に何か違和感を覚えればそれはクレームの種の可能性が高いと言えます。
その違和感に確信や根拠がなくても勇気を持って進言することに意義があります。

※参考記事
https://saigayumelife.site/archives/59

自動車部品関連の製造業や輸送業、食品加工製造、飲食業などのように不良品が人の命と直結する仕事の場合は、特にクレーム対応が遅くなればなるほど倒産のリスクが高まるので種の段階で拾っておく必要があります。
製造業のように現場で直接お客様と関わらない業種のほうが、クレームの木が成長するまで気付きにくいものです。

異音や異臭などの違和感進言は5S活動やKY活動では対応しきれないと言えます。
違和感進言などのクレームの種拾い行動は、不良品や年間クレーム対応予算を半減させるばかりか、顧客満足度も上がり紹介やリピート率アップに繋がるのでその分営業利益アップと売上アップに貢献してくれます。

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