古民家リフォームの価値

石の表面温度は常に低いため湿度が上がれば結露する

古民家と言っても定義はないのですが、50年以上前に建てられた基礎のない家を想像して頂ければイメージできると思います。
リフォームの仕事をしていればお客様からいろんな相談を受けますが、その中には「リフォームできる家か見てもらえますか?」と言った内容ののものがあります。

実際お客様の家を見せて頂き判断することになりますが、業者によって答えが違ってきます。なぜそうなるかと言うと、お客様の立場ではなく業者の立場で考えるからだと思えることがあります。

プロの判断理由

以前あるお客様からその内容の相談を受けて家を見せてもらったことがありますが、私が5社目の相談とのことで2社は「リフォームできます」後の2社は「できません」と返事を頂いたとのことでした。

私も見せて頂き「リフォームはできますがお勧めできません」と返事をしました。

5社の答えが違うのには理由があります。
リフォームしかしていない専門店などは、「できません」と言ったとたんにその仕事のチャンスを失うことになるから「できます」と答えるでしょうし、私の会社のように新築の部署を持っている業者は、その答えに幅を持たせることもできます。

もともとリフォームができない建物など存在しません。
現在の技術をもってすればどんなに古くても、どんなに傷んでいても修繕や改修は可能です。ただそれは費用を度外視した場合と言う条件が付きます。

私が相談を受けた場合の答えを出す基準は、リフォームをして予算に見合った価値以上のものが作り出せるかどうかを判断します。

古民家の価値

例えば家は古くても大きな欅の大黒柱や太い梁が使ってあり、その古材を活かして改修をすれば相当な価値の建物に生まれ変わるようなものであればお勧めできるのですが、リフォームをしても予算に見合った価値にできないものはお勧めできないと言うことになります。

家が古くなればなるほど傾きや損傷個所も多くなるので予算も膨らむのは当然と言えます。
石の上に直接建てられた柱はそれが例え大きな欅の柱であっても、条件次第では石が結露することがあるので、数十年の間にその柱が腐食して5センチ近く下がっっていると言ったことも稀ではありません。

基礎がない家でも基礎を作りその上に家を乗せることもメンヨ技術(家を持ち上げる技術)で可能です。
また天井高を確保できる家で予算を抑えたい場合は、家を浮かさずに基礎を作ることもできます。

繰り返された部分リフォーム

古民家でリフォームのためのヒアリングをさせて頂くと、数十年の間にライフスタイルの変化に伴い何度も部分改修をされていると聞くことが多く、それに掛かった費用も合計すれば二千万円を超えていることもよくあります。

大きな土間を区切り床を張って部屋にしたり、下水工事に伴って500万円以上掛けて水廻りだけを改修されていたりします。

部分改修と言うこともあってその多くが中途半端な改修に留まり、20年を待たずにその箇所も含め大改修に踏み切られることも多くあります。

やはり古民家改修であっても将来を見越し、目的と用途を明確にした上で予算を含め時間を掛けてプランを組み上げることが求められます。

古民家リフォームは掛けた予算以上の価値を見い出せるのかで判断されることをお勧めします。