落ち着いた部屋と音の関連性




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レストランとか美容室に行って何か落ち着かないと思ったことはありませんか?
店舗の内装や装飾などはそれなりに拘った作りなのに、何か落ち着かない時があります。
よくよく考えてみると他のお客さんの声もうるさく聞こえたり、同席している相手の声が聞き取りにくく、自分の声も知らず知らずに大きくなっているなどの経験は誰にでもあると思います。

目次

1. 落ち着かない原因

2. 洋室にリフォームしたら落ち着かなくなった

3. 吸音はストレスを軽減する

4. 音が心を動かしている例

1. 落ち着かない原因

その原因は反響と吸音不足にあります。

大きなガラス窓に床はツルツルのタイル調のものであったり、天井もフラットでクロス張りだったりすると、音が跳ね返り受け止めてくれるものがありません。
例えば京都のお寺などでお茶を頂いた時、なぜこんなに落ち着くのか比べると想像できると思います。
その静けさはただ単に和風なデザインであるが故のものではなく、畳や障子また土壁などが音を吸収し、話していても共鳴するものがないのでストレスなく聞き取れるからだと考えられます。
逆によくあるファミリーレストランではどうかと言うと、大きな窓ガラスにPタイルなどの床で天井はクロス張りが多く、それに加えて食事をするため大きなテーブルが設置してあります。
向かいに座った同席者と大きなテーブルによって距離ができる事で、少し大きな声で話すようになり、それに加えて食器のぶつかる音やBGMなどの音が重なって、なおのこと相手の声が聞き取りにくく、自分の声も大きくなります。
そんな悪循環を生む音の中で落ち着くはずもありません。

2. 洋室にリフォームしたら落ち着かなくなった

真壁(柱が見えている作り)の和室を大壁(柱を見せない作り)の洋室にリフォームするこ
はよくありますが、その場合は床の畳も撤去してフローリングなどにします。
そうしたことで音を吸収する物がなくなり、反響が大きくなって落ち着かない部屋になってしまいます。

この場合はカーテンを大き目にしてドレープ(カーテンのひだ)も多めの物を選んで下さい。
通常は窓に合わせたサイズで仕上げますが、反響を考えるのであれば大きければ大きい程その効果が得られます。
ドレープカーテンは遮光性と遮熱性に優れているだけでなく、吸音性にも優れた効果が期待できます。
それでも音が響く場合は、フローリングの床にカーペットや絨毯を敷くことで音が響きにくくなります。

3. 吸音はストレスを軽減する

以前は食器を洗ったりする場合、シャワー水栓を使うとテレビのボリュームを上げないと聞こえにくくなったりしていましたが、近年のキッチンは静音性の高いシンクが多くなりました。

リフォームをする場合、音の事まで考えてくれる業者はまだまだ少ないと言えます。しかし音はストレスの原因となることがあるので民家のリフォームでも考える要素に入れておく方が賢明と言えます。
特にまだ小さい子どもがいる家庭にとっては、少しでもストレスを軽減させる工夫の一つとして覚えておいて損はないでしょう。
赤ちゃんの夜泣きなどは不眠の原因にもなりますが、その部屋の吸音性が低く反響する部屋だったとしたらどうでしょう?
母親のストレスはますます上がり母子共に情緒に影響をきたすことにもなりかねません。
それに比べ吸音性の高い部屋はストレス軽減に効果があります。
吸音性の高いリビングのある家で暮らす夫婦は吸音性の低いリビングのある家で暮らす夫婦に比べ夫婦喧嘩が少なく離婚率が低いと言ったデータもあるくらいです。

4. 音が心を動かしている例

コンサートホールなどはその性質上反響しないような設計にしてありますが、マイクを使わないクラシックコンサートなどではステージに反響板を設置して、客席まで音が届くようにします。
反響版がマイクの役目を果たしてわざと客席まで音が届くようにしてあります。
逆にマイクを使うポップスやジャズなどでは反響版は使わずPAと言われる増幅装置を使いますが、リバーブやディレイといった機械でわざと反響音や残響音を作っています。
何のためにわざと反響音を作るのかというと、客席の人の心を動かすためと言えます。

ヨーロッパなどの教会では天井をドーム型にして、敢えて音を響かせ布教効果を高めていることはよく知られています。
讃美歌などが反響によって響き、聞く人を興奮させて心を動かすのです。
カラオケも人工的にエコーをかけて心に伝わる力を上げていますが、もしエコーのような反響音や残響音がまったくなければ、まったく面白くない心に響かない歌になってしまします。

生の音楽を聴いて感動するのは音のエネルギーを脳が受け取っているからですが、音楽でなくてもどんな音も耳から入ればエネルギーを受け取っていることになります。
そのエネルギーがもし聴きたくない音ならストレスになってしまいます。

人にとって音の影響はそれほど大きいものなので、毎日生活する家のリフォームで考えることは非常に重要だと言えるのです。