ブロック塀自体が問題




ブロック塀の劣化が早まっている

最初に、大阪北部地震で亡くなられた方々のご冥福をお祈りし、被災者の方々に心よりお見舞い申し上げます。
大阪北部地震でブロック塀の倒壊により二人の方が亡くなられ、テレビなどでその原因が何かを多く報じられています。

その報道で語られているのは建築基準に合ってない鉄筋の入れ方と、控え壁の設置がなされていない2点に集約されています。
もし基準通り控え壁が設置してあれば倒壊は避けられたのではと言ったことですが、私個人の意見で言えばブロック塀自体が間違っています。
基準通りの鉄筋や控え壁で施工されていたとしても、劣化すれば震度6強の地震に耐える保証は無いのと同じです。

どの報道でも語られていない問題は近年の酸性雨でコンクリートの劣化が想像以上に早まっていることです。

酸性雨がセメントを溶かすことはよく知られています。
それではなぜ公共の建築物をコンクリート製にするのかと疑問視される事もありますが、鉄筋コンクリート構造の建物も雨に打たれる屋上はシート防水などで直接雨が当たらない設計がなされているのです。

今回倒壊したブロック塀は表面(道路面)がペイントされていたとはいえ、雨に直接打たれる構造でした。
笠木と言われる塀の上部に設置する部材も見当たりません。
コンクリートブロックには縦方向に穴が開いていて所々に鉄筋を通し、その鉄筋を通した穴はモルタルで詰めて塞ぐように施工されます。
鉄筋を通さない穴はそのまま空洞にしておくのが一般的なのですが、その穴に雨が入れば当然ブロック塀内部の下に雨が長い時間留まることにまります。
ブロック外部が雨に濡れても早く乾燥しますが、内部は長時間乾かないのです。
そのため塀上部にコンクリート製ではない笠木を掛ける事が望ましいのですが、コンクリート製の笠木やモルタルで上部だけを均した施工をよく目にします。

どちらにしても内部に酸性雨が長く溜まっていれば、通常の何倍も早くセメントが溶けて強度が失われるのです。
それもブロック塀の付け根が一番早く強度を失くすので重いブロック塀を支えることができなくなるのです。

これらの事は、北側でコケの生えたコンクリートを見て頂ければ納得できます。
北側で日に当たらず、コケによって長く酸性雨が留まり他(南側など)のコンクリートよりずっと激しく痛んでいるのを確認して頂けます。
また墓地などでよく見かけるブロック塀のコンクリート笠木も近年の酸性雨に打たれているため激しく痛んでいます。

今回の小学校のブロック塀もプール側はペイントもされてなく、ひょっとすれば雨が塀の足元に溜まるような構造になっていたか、ブロック上部の穴が塞いでなかったのか、若しくは塞いでた上部のモルタルが酸性雨により劣化して穴が開き下部に溜まっていたのかもと想像できます。
それでなくてもブロック接合面の横強度は決して高いとは言えません。

まとめ

・酸性雨でセメントは溶ける。
・ブロック塀の劣化は想像以上に早い。
・雨が長く留まるほどコンクリートの劣化は早まる。
・今あるコンクリート塀には近寄らない。
・地震はいつ来るか分からない。
・塀を設置するなら風の強度に対応したアルミ製などで考える。