コスパ重視リフォームのメリットとリスク




リフォームのコスパを考える

コストパフォーマンスとは費用対効果のことで、投入した費用に対して得られる価値などのことを言います。
リフォーム工事では依頼した会社の違いや提案の違いで大きく費用が異なり、時には倍と半分と言えるほども変わることがあります。

目次

1. コスパを考える時の価値感
2. コスパを上げるビルダー商品の価値
3. コスパのための工事見直し
4. リフォーム工事の相見積もりリスク

1. コスパを考える時の価値感

世の中には相場という名の時価や市価と言った比喩的な概念の価値観が存在します。
それと相まってメーカー希望小売価格のように根拠が曖昧な価格も幅を効かせています。
そしてまた何の根拠もなく相場のような比喩的な概念もない価格もはびこっていると言えます。

特にリフォーム工事のような価値は建築関係の仕事に携わっている人でない限り見極めるのは難しく、コスパの判断も容易ではありません。
それは工事が絡むことによって比較対象が見えにくいことに要因しています。

現在あらゆる製品の金銭的価値は価格.comなどによって一目瞭然になっていますが、工事が複雑に絡むリフォームはとりわけ価値の難しいサービスと言えます。

近年その価値比較のために何社も相見積もりを取ってコスパを高めようとする方も多くなりました。
しかしその相見積もりにも大きなリスクが隠れていることがあります。

コスパの高いリフォームで忘れてならないのは、商品や工事だけでなくアフターなども含めた最も価値の高いサービスを得ることです。

2. コスパを上げるビルダー商品の価値

ビルダー商品について以前にも書いたことがありますが、コスパを上げるために検討するのはお勧めです。
ビルダー商品とは大手ハウスメーカーやリフォームフランチャイズ店などのために機器類メーカーが用意した商品のことです。

商品ランクは限られますが、水回り機器類のコスパはこれに勝るものはないと思っています。
私の家の水回り商品は全てビルダー商品ですが、故障率が高いわけでもなく今の時点で品質に問題はなさそうです。

しかしビルダー商品にも色々種類があります。
以前は敢えて一般商品との差を付けていたメーカーは、ビルダー商品に限って部品を安価な材料で作っていたりしました。
その結果故障率が高くメーカーのイメージダウンになっていることも少なからずありました。

しかし今のビルダー商品が一般に販売される商品と違うのは主に商品名が違う程度になっています。
商品によっては一般商品と何ひとつ違わないものまであります。

違うのは仕入れ価格だけです。
しかもその仕入れ価格の違いは半値ほども差があります。

それでもメーカーは年間単位での大量受注契約を結ぶことができるのでメリットがあります。
つまりメーカーはその価格でも損はしないシステムになっています。
そう考えればメーカー希望小売り価格の根拠は相場を上げるためにあるのではと疑いたくなるほどです。

逆に考えるとビルダー製品を使わないデメリットの方が大きいのではないかと思えるほどです。
但しビルダー商品のランクは中より下辺りのランク商品が多く、メーカー一押しの高級ランク商品にはその手の商品はありません。

しかし水回り商品などは一生物という訳ではなく買い替えなくてはならない商品です。
特にトイレなどは10年程度で汚れや故障が気になるので、買い替えるつもりでビルダー商品を使うのは最もコスパを高める有効な手段と言えます。

3. コスパのための工事見直し

当然ですが工事項目を減らすと予算は削減できます。
商品の価格は目に見えますが、リフォーム工事に係る人件費の予算割合は不透明です。
しかしその人件費はほとんどの工事で大きな割合を占めています。

例えばキッチンリフォームで一部分だけデザインタイルを貼るプランだとすると、そのためだけにタイル職人が必要になります。
そのプランが施主の欲求でなくリフォーム会社の提案なら他のものに変更するだけで材料は元より職人の人件費や経費なども削ることができます。

専門業者を減らし職人の人件費を削減する手段はコスパの高いリフォーム会社で考えられています。
プラン段階から下請け専門業者の数を少なくするために工事種目を減らすだけでなく他の取り組みもされています。
それが下請け会社の生産効率を上げるための職人の多能工化です。

特に専門業種の多能化はリフォームにとって有効です。
例えば大きな造園工事ではなくこじんまりとした玄関前の植栽工事を造園会社に依頼するのではなく土間コンクリート工事をした土木工事会社に任せるというようなことです。
もちろん逆に造園会社に植栽工事と土木工事の依頼をすることもあります。

通常なら2社必要な工事を1社にすることで経費を削減できます。

当然多能化に意識のないリフォーム会社と多能化に取り組んでいるリフォーム会社では顧客の予算欲求の意味からもコスパ度合いが変わってきます。
リフォーム会社も多能化によって利益率を上げることができ、顧客満足度にも繋がります。

このようなコスパ意識の高い会社を探すのは容易ではありません。
それでも見積明細の経費率があまりに高い会社は要注意だと判断できます。

4. リフォーム工事の相見積もりリスク

リフォーム工事のコスパを高める目的で一般の消費者にも相見積もりが広まっています。
相見積もりとは複数の会社から同じリフォームプランの見積もりを取って予算比較することですが、昔から官公庁の商品購入などでよく使われていた手法です。

リフォームコスパを高めるためにこの相見積もりという手法を、素人の一般消費者が行うのはあまりにもリスクが高いと警告しなければなりません。
リフォーム工事でこの相見積もりが行われるようになって10年近くになると感じますが、リフォーム会社もその対策を数年前から始めています。

お客様によっては先ず一番信頼できそうな会社でリフォームプランを作成し図面なども揃えてから次の会社に図面を見せて相見積もりを取ります。
もちろんプラン作成した会社名は隠してコピーしたような図面を渡します。

しかしリフォーム会社からすれば時間を掛けてプラン作成したものを相見積もりのために使われ値引き材料にされたり、最悪他の会社に横取りされたのではたまったものではありません。
時には5社以上もの会社から相見積もりを取るお客様まで出て来たので対策せざるを得なくなったのです。

先ずは相見積もりを取るお客様の傾向をリサーチすると、相見積もりを多く取るお客様ほど予算重視で金銭的トラブルが多いという結果だったのです。
当然と言えば当然ですが、健全経営をしている優良なサービスを提供しているリフォーム会社からすれば、何度もリピートや紹介をしてくれる優良顧客とは程遠いランク付けをすることになります。
そして敢えて高い見積もりを提出してうまくお断りして頂くということも行われています。

お客様からすればコスパの高いリフォームをするための相見積もりが返って逆効果になってしまったという事例です。
この例からも分かるように相見積もりのリスクは会社選びを間違うリスクに繋がる危険性が大きいと言えます。

相見積もりリスクはそれだけではありません。
同じ地域のリフォーム会社がお互い競合会社になるのは周知の事実ですが、自分たちの利益を守るためには共存するという考え方も生まれているようです。
リスクを冒してまで利益の少ないリフォーム工事を受注することを避けるため、他社のプラン図面では見積もりをしないと決め丁重にお断りする会社もあります。

その他にもいわゆる官公庁の入札では悪とされる談合が行われることもあるようです。
もし談合されれば相見積もりは逆効果です。

相見積もりをする会社は別々でも下請けの施工業者が重なる場合もよくあることです。
例えばABCという3社の下請け施工会社に同じ内装会社が入っているような場合です。
その内装会社がA社から最も多くの仕事を請け負っている場合はA社の有利な見積もりになるよう協力するのは当然で、お客様が相見積もりの会社を公表していなくてもこの内装会社から情報が入ることもよくあることです。