外壁が狙われている(訪問詐欺に遭わないために!)




詐欺とは刑法上の定義はあるもののグレーな部分も多く、泣き寝入りする例も少なくありません。
そして外壁工事ほど詐欺的営業に向いた仕事も他になく、時には騙されたことにすら気付かないといったこともあるほどです。
被害に遭われる人が少しでも減ることを願ってこの記事を書きます。

危険な飛び込み営業の見分け方

外壁が狙われる理由

1. 営業マンに建築スキルが不要

例えば外壁塗装の飛び込み営業では、リフォームに求められる建物の構造や住宅設備などの多くの知識は必要ありません。
必要なのは外壁の種類と塗装の種類くらいで、工程の知識も足場、洗浄、コーキング程度です。

例えばまったく建築の知識がなく入社した人でも、それらの知識と飛び込み営業のロープレ研修を数日行えば即戦力の営業ができるのです。

このような会社では飛び込み営業と見積もり担当が分けられている場合が多く、その営業マンは見積もりをするスキルを持ち合わせていない場合がほとんどです。

2. 道路から外壁の様子を伺え営業ポイントを探れる

例えば屋内のリフォームなら家に入ってみないと何も分からないので、飛び込み訪問で契約まで持ち込むハードルはかなり高くなります。
一般的には初めて会ったどこの誰だか分からない人を家の中に招き入れることに抵抗があります。
「リフォームの営業で参りました」
「一度、家の中を拝見させて頂けないでしょうか」と言われて
「どうぞ上がって見て下さい」と言う人はいないでしょう。

ところが外壁ならどうでしょう。
インターホンを押すまでに外壁の種類、劣化状況、面積などの情報を前もって頭に入れることができるのです。

つまりお客様とひと言も話しをするまでに、予め客観的事実情報を取得できる訳です。

このことこそが外壁飛び込み営業を簡単にさせている大きな要素でもあるのです。
つまり詐欺的営業をやりやすくしているとも言えなくありません。

3. 不安を煽る要素が山盛り

屋根と外壁は雨風にさらされているので家屋の部位の中で最も劣化が早いところと言うことは、建築に於いては常識的な認識です。
外壁の亀裂やコーキングの劣化から雨が侵入して柱を腐らせると言われれば、建築の知識のない一般の人は不安な気持ちになるのが普通です。

例えば外壁塗装など考えたことがなくても「外壁メンテナンスを早めにしないと大事になりかねないですよ」などと不安を煽られるとどうでしょう。

「ほらよく見て下さい。」
「コーキングが少し劣化して隙間が見えるでしょう。」
「そこから雨が入って柱が腐るんです。」
「早めに手を打たないと手遅れになりますよ」
などと言われれば不安になって当たり前です。

本当は、多少コーキングが劣化したからと言って、すぐに雨水が柱まで到達することはありません。
外壁の下には防水シートが貼ってあるからです。


「雨が壁の中に入ればすぐに白蟻に犯されて取り返しのつかないことになりますよ」と追い打ちで煽られれば不安は更に広がります。

もしそのような飛び込み営業に不安を煽られたとしても、その場で見積依頼をすることは白蟻よりも危険です。
一度冷静になってその家を建てた会社や、信頼できる建築会社に相談するべきです。

名刺を渡さない、強引、逆切れは超危険

最も注意しなければならないリフォーム営業マンの見分け方は、最初に名刺を渡さない、強引、逆切れするなどです。

どんな営業でも最初にお客様と顔を合わせた時は、先ず名刺を渡して自分の身分を証しご挨拶するのが通例です。
しかし詐欺的要素が大きいほど証拠を残す行為をしないものなのです。

最初に名刺を渡す行為は営業に於いて基本中の基本なので、それをしないのにはそれなりの理由があるからなのです。

例えインターホン越しであっても「郵便受けに名刺とパンフレットを入れさせて頂いてよろしいでしょうか」と了承を得て最後には「ありがとうございます」と言って頭を下げて帰るのが普通の営業マンです。

ところが最近我が家に来た営業マンがインターホン越しに最後に言い残したのは「くそ!切りやがった」でした。
私の家のインターホンは一定時間が過ぎると自動的に切れる設定になっていたようなのですが、切れた後もカメラと外の音声は聞こえたのでその言葉に驚いたのです。
これは逆切れに相当しますので最も危険な営業と言うことになります。

このような最も危険な詐欺的営業は自分の会社のことも自覚しているので、思うようなアプローチができなかった時によく逆切れします。

「会社はどこにありますか」と聞いて大雑把な返事しか返ってこない場合は疑いを持つべきです。
危ない会社は会社の場所も詳しく教えたくない場合が多いので、大阪ですとか神戸ですなどと詳しく話そうとはしません。

そのような会社の場合は大概はオフィスビルの一部屋を借りて営業しているので、リフォーム会社とか建築会社ということも分からないほどです。

「大阪のどこですか?」と聞いても適当に言おうとするのであれば、「これは言いたくないんだな」と受け取るべきです。
まともな会社なら地図まで取り出して必要以上に説明してくれるものです。

初めての飛び込み営業に見積依頼をしてはならない訳

「ご近所の〇〇様宅で外壁工事をさせて頂くことになりました、今なら足場や高圧洗浄を無料にさせて頂けるので見積もりだけでもいかがでしょう」

このように言われるとご近所でも工事をされるのだから安心だと思いますが慌てないことです。
その工事も支払いも終わった後、その方にどうだったか伺ってからでも遅くないということです。

外壁飛び込み営業会社のほとんどは利益優先主義の超成果主義なので、顧客満足優先ではありません。
地元の会社だから信頼できるという訳でもありませんが、飛び込み営業のあった初日に見積もり依頼することはあまりにも危険です。

しかし飛び込み営業の立場から話しをすれば、その日の内に何らかの契約をすることこそが正義であって優秀な営業だということになります。

なぜならその日が過ぎればその客は家族などに相談して冷静さを取り戻し、契約から遠ざかることを分かっているからです。
飛び込み営業においての鉄則はその日の契約行動で、そのひとつが見積もり依頼ということになります。

つまりお客様の立場から言うと、どれだけ甘い言葉をかけられても不安を煽られてもその日の見積もり依頼はキッパリ断るのが先ずは後悔しないために賢明なのです。
「見積もりだけでもさせて下さい」という言葉の裏には「契約をする意思を見せて下さい」という言葉が隠れているのです。

中には見積もり依頼書なる書類に印を要求するといった手の込んだ手口もあるほどです。

騙されているのも分からない外壁メンテの例

6年経って騙されたことに気付いた外壁メンテナンス

10年ほど前になりますが、外壁を見てほしいと電話を頂いた時の話しです。
行って話しを聞いてみると、まだ前回の塗装メンテナンスから6年しか経ってないのに、特に西側玄関の外壁の痛みがひどく色も変色しているとのことでした。

どこの会社でメンテナンスをされましたかと聞くと、飛び込み訪問だったのでよく覚えていないとのことなので、どんな説明を受けて決断されたのですかとも聞きました。
すると「耐久性に一番優れた塗料を使うので少し予算は必要ですが20年は大丈夫です」ということだったので契約しましたとのことです。

後日調査をして明らかになったのは、実際に塗られたのは塗料の中で最も安価なアクリル塗料で説明は最も高額の無機塗料だったのではという疑念です。
しかもよく見ると塗装技術は低く、とてもプロの仕事だとは思えないほどのクオリティーだったのです。

請求書をもらって気付いた詐欺手口

これは飛び込み訪問ではなく、隣町の会社のポスティングチラシに乗ったお客様の話しなのですが、隣町に実際にある会社だと安心した結果の被害です。
外壁塗装メンテナンスキャンペーンということで、今なら足場などの仮設工事が無料で格安で工事をしますといったチラシでした。

確かに安く感じたので見積もり依頼をして契約し着工したのだそうです。
そして塗装工事が終わりかけたころその会社の社長という人が来られて低姿勢で言われたそうです。

「ありがとうございます」
「今日で外壁塗装工事は終わりますがついでに屋根の塗装もされたらどうでしょう」

「せっかく足場もあるのですから」
「屋根の塗装は今日中に洗浄しておけば明日一日で終わりますが、そうでなければ明日には足場を解体しますので..」

結局屋根塗装の見積書をもらう暇もなく屋根塗装工事も含め終わりました。

そして月末になり請求書が郵送されてきて驚くことになったようです。
請求書の金額を見ると外壁塗装だけの見積もり金額の3倍を超えていたそうです。

後で考えればそのストーリー全てが詐欺まがい(詐欺ギリギリ)の手口だったのです。

もちろん通常の営業なら外壁塗装の現場調査をする時点で屋根の話しを含めながら勧めるのが良心的というものです。

正式に契約した本工事よりも高い追加工事などあり得ないと訴えましたが、その業者は一歩も引くことはなく結局泣き寝入りになったようです。

外壁メンテでどこに頼めばいいのか分からない場合

例えば家の外壁を全て塗装メンテナンスしようと思えば、40坪程度の家でも100万以上の予算が必要になることは稀ではありません。
言い換えればそんな高額な買い物をする訳ですから、どんな会社でどんな商品を買うのかリサーチするのは当然の行為です。

先ずは自分の周りで信頼できる建築関係の人に相談するのもひとつの手段です。
もしお勧めされる会社があるのならその会社に赴いて相談をしてみることは悪いことではありません。

地域のリフォーム店に行って相談をするのも、初めての飛び込み訪問営業に比べれば遥かに安心できます。
何年も地域の中で店舗を構えて営業を続けているというだけで信頼度は上がります。

それでももっとリサーチをするとするなら、その会社の離職率や人となりを調べてみるのがいいでしょう。

外壁メンテは高額商品を買うようなものと表現しましたが、実際は商品というより高額なサービスと言うべきなのかもしれません。

材料や仕上がりの品質は素人には見分けることも難しく、その会社を信用する以外ないのですから結局は人を見極める他ないと言うことになります。
人を見極めるのですから一度ではなく、何度かお会いして話しをするのがいい結果に繋がると言えます。