リフォーム工事で近隣トラブル対処事例と対策




工事挨拶で近隣トラブルが軽減する

嬉しいはずのリフォームが突如ストレスの種になると言ったことがあります。
リフォームに要する期間も様々ですが、工事が始まると思いもよらぬ出来事もあるので最初からそのようなリスクは取り除いておくのが賢明です。
よくある近隣トラブルを参考に自分に当てはめトラブルの種を拾っておきましょう。

近隣トラブルと対処例、事前対策

目次
1. 本人や業者ではなく、県や市町村にクレームが行く事例
2. 敷地境界クレームの例
3. 太陽光発電システムクレームの例
4. 工事の音クレームの例
5. 粉塵被害によるクレーム例
6. 駐車場も少ない入り組んだ住宅街に多いクレーム例
7. 境界トラブルが最も多いフェンス工事の例
8. 近隣と言っても微妙な距離のクレーム
9. まとめ

1. 本人や業者ではなく、県や市町村にクレームが行く事例

解体が始まってすぐに工事が中断し、業者の人に理由を聞くと県土木に近隣の人からクレームの電話があり、内容は「ホコリで生活ができない、アスベストは大丈夫なのか」と言ったものだった。
業者の人と同行してその家に謝罪し、詳しい説明と今後気を付けることでご理解をお願いしたが、工事の再開は3日後になった。

この事例のように実際に業務を行っている会社や本人を通り越して県などへクレームを言う人はお役所クレーマーと呼びたくなる人たちで、半分憂さ晴らしの場合もあり、理不尽なクレームもあります。
実際にホコリがひどく辛抱できないなら、先ずは現場に行って直接訴えるのが筋だと考えるのが普通です。
しかしクレームがあれば役所も収拾しなければならないので、業者へ対応の指示を出すのが普通です。
業者だけで謝罪と説明にお伺いしてもいいのですが、近隣ということで施主が同行する方が丸く収まります。
この事例の場合はこの人が近隣でどんな人なのか分かっていて、最初から予測できたのであれば、着工前の近隣あいさつで特に詳しく説明し、手土産も渡して押さえておくことです。
両隣だけ近隣あいさつをしてこのような家のあいさつを省けばクレームリスクが高まるのは間違いありません。

2. 敷地境界クレームの例

リフォーム完成後、隣の人から「屋根が敷地境界を越境している」とクレームがあった。
業者に確認したところ、業者の境界線の思い込みと言うことが判明したため、越境部分の屋根をカットして納得を得た。

このような敷地に絡むクレームは後を絶ちません。
リフォームではなくても、現在全国で行われている地籍調査などでも各地でトラブルが発生しています。
敷地境界に関する民法では「建築物は境界線から最低50㎝離す」となっていますが、場合によっては許容するような慣習があったりします。
民法自体も明治時代に作られたものがそのままで現在にそぐわない物まであると聞きます。
しかし敷地境界でトラブルになれば最終的には裁判で争うようなことになりかねません。
敷地境界に近い建物を増築やリフォームする場合は、計画段階で隣地の家主にその計画の報告をし、理解を得ておく方が無難です。
なぜか日本人は建築直近にならないと隣の人にも計画を話したがらない人が多いので、こういったトラブルが多い原因にもなっています。
計画段階で問題になっても、完成してからのトラブルを考えれば余程リスクは少なくて済みます。

3. 太陽光発電システムクレームの例

太陽光発電システム設置後、隣人から雪が敷地を超えて落ちてくるとクレームを言われた。
屋根に落雪防止装置を設置して了解を得たが雪が落ちないので発電能力も落ち落雪防止装置の予算が大きく追加となってしまった。

元々太陽光発電システムはクレームの多い商品で、雪だけでなく反射光や熱、夜間のパワコンの音や豪雨時の対策理由で全国的にトラブルが起こっています。
これらも設置計画までに近隣クレームのあらゆる可能性について詳しく検証しておくことがリスク回避に繋がります。

4. 工事の音クレームの例

リフォーム工事中に、近隣アパートの居住者から「朝早くから工事の音がうるさい」とクレームを受けた。
防音シートの設置と早朝にはできる限り音が出ない工事を優先すると言うことで理解を得た。

この事例の場合も工事前の近隣あいさつからアパートを省いたことが原因だと思われます。
特に近隣にアパートなどの賃貸住宅で、コミュニケーションが不足している家ほど丁寧に近隣あいさつをしておかなければなりません。
できれば石鹸一つ、タオルの1本でもいいので持参し、顔を見て迷惑をおかけする旨をお許し頂いておけばトラブルを防げる場合がほとんどです。
コミュニケーションのないアパートの居住者の中には、夜勤で朝方帰宅して就寝されている人がいるかも知れないのです。
そんな実際迷惑をおかけする人でも、顔を見て丁寧なあいさつを受けていれば「しかたないか」となりますが、顔も見たことない話もしたことないとなると腹立たしさは倍増するものです。

5. 粉塵被害によるクレーム例

リフォームに伴うコンクリートの切断工事をしていると洗濯物が汚れたと近隣からクレームを受けた。
謝罪して粉塵がでない対策をすると伝えた。

これもよくあるクレームです。
最初から粉塵がでないように水をかけながら作業したり、粉塵用の集じん機を使って工事をするのが当たり前ですが、そのような作業には二人でしなければできないため、ついつい一人で行ってクレームに繋がっています。
それでも粉塵の可能性が抑えられない作業に関しては、業者は前もって近隣を回って作業の周知と洗濯物の注意を促すお願いをしなければなりません。
リフォーム業者としては当然できてなければならないマナー教育が不足しているので、最初のリフォーム業者選びを慎重にすること以外防ぎようがありません。

6. 駐車場も少ない入り組んだ住宅街に多いクレーム例

リフォーム中に「業者の車が道路を塞いでいる」とクレームを受けた。
工事中にリフォームの資材を運搬してきたトラックが1時間以上住宅街の道路を塞ぐように停車していたため、近隣からクレームが来た。
資材を降ろした後、現場で職人と話しが長くなりトラックを動かすのが遅くなったようだが、近隣にご迷惑をかけ誤りに回ったのはお客様であるはずの施主だった。

この事例も狭い道路幅の住宅街ではよく聞くクレームですが、リフォームの依頼を受けた業者は近くの空き地を借り入れるなど駐車スペースを確保しておかなければなりません。
どうしても道路を遮断しなければできない荷卸し作業は最短にする努力をし、出来れば作業時間を知らせる看板(10分程度の作業です。ご迷惑をおかけします)などを掲示しておけばご理解を頂ける場合がほとんどです。

7. 境界トラブルが最も多いフェンス工事の例

フェンス工事後に隣人から「境界が違う」とクレームを受けたのですが、見積もり時に境界ピンの位置を説明していたので、当然分かっているものだと施工日は仕事に出た。暗くなってから帰ってみると施工は終わっていたが隣人からクレームを受け、確認してみると違っていた。
業者に連絡したが、仕事が詰まっていて直ぐには行けないと言われ、そのことを謝罪するために再び隣家へ行った。
結局再設置が完了したのは1ヶ月後になり、その1ヶ月の間隣家の前を通るたびに気まずい思いに悩まされた。

このようなフェンスや塀でのトラブルは昔から多く、訴訟問題になっている事例も多くありますが、民事訴訟の判例には境界越境や塀の費用負担、元々ある塀の所有権など後を絶ちません。
普段仲のいいお隣さんでも、塀などの隣地境界でトラブルを招くのは狭い日本に住んでいる私たちの宿命と言っても過言ではないほど多い問題です。
そのため、フェンスや塀で隣地境界と関わる工事の場合は計画段階で細心の注意が必要になるという訳です。
計画の段階で隣家と相談し、予算の負担やデザイン、境界立会など図面を見ながら両者が納得してから工事を進めるのが最善と言えます。

8. 近隣と言っても微妙な距離のクレーム

リフォーム工事が中盤に差し掛かった頃、10軒ほど離れた家から電話があり、「お宅に出入りしている業者の車と事故に遭うところだった、何とかしろ」とお叱りを受けた。
近隣でも評判の良くない問題のある家であったが、菓子折りを持ってご丁重に謝罪に行った。
このときとばかりにいっぱい苦情を言われたが、頭を下げるしかなくストレスは最高潮に達した。

近隣あいさつに行くほどの距離でもないが、地域でも関わり合いたくない少し厄介と思われている人はどこにでもいます。
もしそんな風に感じている人がいるなら、工事前にリフォーム業者に注意を促しておくことが必要です。
出来る事ならその近くの道は避けて通らないくらい注意してもいいかも知れません。
何にでも言いがかりを付けて理不尽極まりないような人には、最初から関わらないことが最善なのは言うまでもありません。

9. まとめ

リフォームの近隣トラブルはよく聞く話しですが、リフォームは近隣の人に何かと迷惑をかけるのが普通です。
迷惑を一切かけずに行うことの方が不自然と言えます。
しかし一般的には「お互いさま」と多少の迷惑にも目をつむって頂けると誰もが考えてしまいますが、親しき中にも礼儀ありなので前もって礼を尽くすことでリスクを軽減しておきましょう。
楽しいはずのリフォームが、近隣クレームのトラブルから一転してストレスの源にならないために、近隣あいさつや事前調査などを慎重に丁寧に行うことをお勧めします。