定年退職後の居場所に納屋をリフォームした価値は?




定年退職したら居場所づくりリフォームを..

定年退職後の居場所に納屋をリフォームした結果

現役最後の年に納屋をリフォームしましました。
今はその納屋で寝てその納屋で趣味を楽しんでその納屋で仕事をしています。
何をするにも一人で集中できるかけがえのない居場所です。

納屋リフォームの価値は定年退職後の居場所として

私が朝目覚めるのは納屋のロフト寝室です。
目覚めるとベッド横の小さな窓のカーテンを開けます。
ハシゴ階段を下りて一階フロアのカーテンを開けトイレに向かいます。

その後納屋を出て隣の母屋に行き母屋で着替えて母屋の洗面所で顔を洗います。
そして母屋で妻が作った朝食をありがたく頂いたら納屋に帰ってきます。
そんな暮らしが日課になっています。

もしこの納屋がなければ妻にうっとうしがられながらでも母屋にいるしかありません。
納屋リフォームの一番の価値は居場所の確保なのです。
納屋があるからこそ趣味に没頭でき、新しい挑戦もできます。

例えば本を読みたい時や好きな音楽を聴きたい時、パソコン作業をしたい時や昼寝をしたい時も側に誰かがいると集中することはできません。
それが例え長年連れ添った妻であってもです。

邪魔をされたと脳が認識したときは、例えそれが住み慣れた我が家であっても落ち着くことはできないのです。
ほんの少し話しかけられただけで集中力が途切れるのは、人間の脳がマルチタスクではない証しです。

勿論母屋の自分専用の部屋でも一人にはなれるのですが、どうしても家に誰かいると生活音が気になります。
二階の自室で本を読んでいたとしても、下の階でゴトッと音がすれば「何をしてるんだろう」と思うのは当然の心理と言うものです。
その点納屋は別棟なので隣の母屋の音が気になることはないのです。

なぜ定年退職後に居場所が必要なのでしょう

特にサラリーマンをされていた方なら実感できるでしょうが、毎日出勤していた会社は職場であり居場所だったということが退職後改めて実感できます。
毎日行くところが会社であり居座ることができるのが会社です。
定年退職とはその場所が無くなるということなのです。

行き場所と居場所を失うのが定年退職なので何らかのそれに代わるところが必要になります。
定年退職したからと言って毎日家でテレビでも見ながらゴロゴロして過ごすことほどしんどいこともありません。
やはり人には生き甲斐となるものが必要なのです。

私が住んでいるのは山間部なのでどの家にも田畑があり、定年退職した多くの人が稲作や園芸に精を出されています。
しかしそれは誰もが好きなことや生き甲斐として定年退職後に農業を選択されている訳ではありません。
行くところもやることもないからたまたま所有していた農地に居場所とやることを求めているだけに過ぎません。

私の家にも田畑はありますが、農作業が想像以上に大変なのは子どものころから手伝っていたのでよく分かっています。
それに使える農機具も残っていないこともあり定年退職後に農業という選択肢は最初から無かったのです。

しかし農業倉庫として使っていた納屋が残っていたのでその納屋をリフォームして居場所にしたのです。

どんな納屋だったのか説明すると

その納屋は私が生まれた時から建っていたので、おそらく築70年以上(不明)といったところでしょう。
母屋は建て替えましたがその納屋は農業倉庫兼牛部屋として使っていた記憶があります。

瓦葺木造二階建てですが勿論基礎などありませんし、瓦と言ってもセメント瓦で酸性雨に直接打たれて薄くなり雨漏りもしていました。
雨漏りしているところは野地板も腐り垂木も腐りかけているのが分かるほどです。

稲を作っていた頃は土間の一階で稲の乾燥をしたりもしていたのでその乾燥機や脱穀機なども置いていました。
その後農業の採算が取れないからと稲作をやめてからは、土間だった部屋に床を張り母と祖母の内職部屋に変わった経緯があります。

一階は6帖二間と9帖が一間で二階は4.5帖が二間です。
それとは別に牛部屋として使っていた8帖がありますが、この部屋は今でも倉庫のままにしています。
リフォームをしたのは一階の6帖二間と9帖の内の3帖分、それに二階の二部屋です。
一階の6帖二間は間仕切壁を取りワンフロアにして天井も取り払って二階の一部屋分を吹き抜けにしました。

一階の9帖(今でも倉庫)の上に乗っている4.5帖をロフトにし、一階9帖の内の3帖分をトイレと洗面スペースにしました。

元々納屋だったこともあり一階の床が無かったので梁も低く、その土間に床を張るとなると更に天井が低くなります。
そんな理由から二階は吹き抜けにして既存の梁も30㎝程度上げることにしたのです。

納屋を居場所にして3年以上

納屋をリフォームしてから約4年目になりましたが、今は定年退職後の居場所として充分に役目を果たしています。
それどころか途中からロフトにベッドを持ち込み寝るようになってからは家(母屋)にいる時間が会社に行っていた頃よりも少なくなってしまったくらいです。

人に「納屋で暮らしています」と言えば「えっ」と不審がられ「奥様と別居されてると言うことですか」とも聞かれたりします。
確かに敷地内別居と言えますが、仲が悪い訳でもなくお互いに干渉しないからかうまくいっています。
納屋という言葉の響きもあまり印象よく受け取られないこともありますが、来られた知人には想像以上の居場所だと羨んで頂けます。

今はこの定年退職後の居場所づくりが大正解だったと感じています。

ロフトを収納から寝室に変更したデメリット

どんなリフォームでも後で考えると失敗したと感じる後悔は少なからずあるのが普通です。
そのほとんどはリフォームをする前に想像するリフォーム後の生活と結果に誤差が生じることが原因になります。

私もリフォームしたときはロフトで寝る予定ではなく、ロフトは収納と考えていました。
そのためロフトに上がる階段をハシゴ階段といった簡易的な階段にしましたが、今となっては毎日何度か使用するので危険にさえ感じます。

それでなくても家の中での事故で最も多いのは階段からの転落事故なので、今はササラ板の両方に手すりを取り付け充分注意しながら上り下りしています。

ロフトの高さは1階 FL(フロアライン)から2.3mなので通常の2階に比べれば低く、体力的にはそう大変でもありません。
ただその階段はハシゴ的作りなので踏面が狭いのが難点です。

ロフトを寝室にした二つ目のデメリットはエアコンです。
最初からロフトを寝室にする計画をしていたなら最低でもエアコン専用回路のコンセントは設置していたでしょうが、後でエアコンを設置しようと思うと電気配線工事をすることになります。
吹き抜け部に大きめのエアコンを設置してありますが、それをロフト寝室の空調と兼ねるのは効率が悪いのは明らかです。

仕事で納屋リフォームを推奨しなかった理由

自宅の納屋を自分でリフォームはしましたが、仕事ならお客様にお勧めすることはできないでしょう。
なぜなら納屋として70年以上も前に建てられた建物なので耐震は疎か、構造的にも今の水準から遥かに低いものだからです。
そのような建物をリフォームして住まいにするとしたら相当の予算が必要になりますが、そこまでの予算を掛けてまでリフォームする価値を考えるとお勧めはできませんと言うだけです。

私の場合はリフォームを仕事にしていたから決断できたとも言えます。
自分でリフォームをしたと言いましたが、計画や設計は自分でして施工はすべて業者にお願いしました。
工程や施工手順などが分かっているから出来る事で、リフォームの素人には簡単ではありません。
材料などの仕入れなども分かっているから予算も安くできる訳です。
例えば窓はすべて業者の在庫処分品で賄いました。
すべて発注ミスなどで会社に在庫として残っている商品です。

そのため窓の色は指定できず、数種の違う色の違うランクの窓を使用しています。

このような妥協は自分だから納得できますが、まさかお客様にお勧め出来る事ではありません。

そして何より地震で倒壊しようが台風で屋根が飛ばされようが全ては自分の責任で行ったリフォームだということです。

定年退職した今だから推奨できるリフォームのやり方

リフォームに素人の人がもしこのような居場所づくりリフォームがしたいなら定年退職してから考えて見るのがお勧めです。
どうせ退職すれば時間は有り余るほどできるのですから、計画から施工までどう妥協してどんな居場所にしたいかなどを具体化していけばいいでしょう。

納屋など自宅にリフォームできる物件が無いのなら、少し離れた田舎で適当な古民家を探すのも悪くはありません。

出来る事なら素人ながらでも自分で施工してみると定年退職後の人生そのものが楽しくなります。
職人と素人の違いは施工スピードや安全認識です。
施工スピードは道具によっても大きく変わってきますが、自分で施工する場合は職人のように工期に追われることもありません。
現在は分からないことがあればYouTubeなどで調べることもできます。

屋根工事や水回り工事、資格のいる電気配線工事などはそれぞれの専門業者にお願いすればいいわけです。
クオリティが低くても自分でやったものづくりは納得でき味わい深いものです。

自分で行う居場所作りリフォームならものづくりの楽しさや醍醐味も体験できるので勧めです。