家の配管リスク




家の上水道メーターは計量法により8年毎に取り替えられる。

家の配管は人間の血管と同じ

配管が老朽化してくると漏水などのリスクが大きくなってきます。
漏水に気付かずほっておくと、湿気てカビの原因になったり、更にひどいときには災害なみの被害を被ることさえ考えられます。
例えば不在の間に2階にあるトイレの給水管の継手が抜けてしまった場合は、1階は水浸しで家電製品などにも被害が及んだりします。

配管の種類とリスク

給水管

給水管は文字通り水を通す管で他の管との違いは管内部に高い圧力が掛かることです。
そのため一番漏水が多いのも給水管と言えます。
給水管は圧力によって勾配を取る必要がなく、細い管で対応できるのも特徴と言えます。
一般家庭の給水管にはほとんどが15㎜~20㎜程度の太さの管が使われます。
最近の一般家庭用給水管の材質は、継手の少ない保温材付き架橋ポリエチレン管が多くなってきました。
これまでの、糊付けの塩ビ管が使われている所では継手からの漏水リスクは高いままと言っていいでしょう。
給水管の圧力には地域によって大きく差があります。
2.0~4.0Kgf/㎡がよくある圧力でしょうが私の住んでいる所は5.0Kbf/㎡以上あり、圧力が高い分、漏水のリスクも高くなります。

特に8年に一度の水道メーター交換時には注意が必要です。
メーター交換をすると給水管内部にエアー(空気)が入り、その空気がトイレなどの機器類から排出される時にウォーターハンマーと言われているような瞬間的に高圧力が掛かり、機器の破損により漏水する可能性が非常に高いのです。
機器類からの漏水リスクを軽減するには、機器類ごとに設置してある給水バルブで水量を少なめに調節するといいでしょう。


排水管

排水管は主に汚水管と雑排水管に分けられます。
汚水管はトイレからの排水で、雑排水管はキッチンや洗面、洗濯機などトイレ以外の排水管です。
排水管は給水管と違って圧力が掛からないのが特徴です。
圧力が掛からない分、太い管で勾配を取る必要が出てきます。
排水管は圧力が掛かっていないので漏水のリスクは非常に少ないのですが、その分詰まるリスクは高くなります。
排水管が詰まれば、行き場を失くした排水が逆流してトイレなどの機器類から噴き出したりします。
もし下流で詰まって配管内に水が溜まれば圧力が生じます。
排水管は圧力が掛かる計算がされずに施工されるので、詰まって排水の重みで圧力が掛かれば漏水することも考えられます。
詰まりの原因は、子どもがトイレで玩具を落としたり、モラルの悪い住民が下水桝がら紙おむつを流したとか、庭の樹木の根が水を求めて排水管に入り込んだなど、様々な例があります。

給湯管

給湯管は給湯器などから湯を送る配管なので、他の配管とは違い、熱を持つのが特徴です。
給湯管からの漏水原因で一番多いのは、配管の老朽化と給湯器交換時の圧力差によるものです。
特に給湯器を貯湯式から直圧式に交換したときは注意が必要です。
貯湯式給湯器は出口で減圧された状態で湯が出てきますが、直圧式給湯器の場合は上水道と同じ圧力で湯が出てきます。
貯湯式の圧力には耐えていた給湯管が直圧式給湯器の圧力には耐えられず、長年の熱などにより老朽化が後押しして漏水することはよくあります。
配管が塩ビ製(HIVPなど)で継手を糊付けしている場合は特にリスクは高いでしょう。

雨水管

雨水管は汚水などと同じ下水道管で流す合流式と別々に流す分流式がありますが、最近ではほとんどが分流式になっているはずです。
雨水管は雨だけを流す屋外設備のため、漏水などのリスクは非常に少ないと言えますが、近年の異常気象によりリスクが高くなってきているようです。

実際、屋上に駐車場がある商業施設で屋上の雨水を排水する管に圧力が掛かり伸縮継手などから漏水する事例が多くあります。
これは近年の想定外の豪雨によるもので、100㎜/hの雨量が排水できる設計にはしていなかったのが原因です。

ガス管

ガス管は都市ガスやプロパンガスに分類できますが、どちらも配管内圧力は弱く、メーターやコンロなどの機器類にセンサーなどによるガス漏れの対策が取られているため、意外にリスクは低いと言えます。
当然ですが、もしもガス漏れが生じた場合の被害は少なくありません。

しかしガスのリスクで言えば配管より燃焼器(ガスだけではない)によるリスクの方が大きい事を忘れてはいけません。
屋内設置燃焼器の煙突などが詰まり不完全燃焼になると一酸化炭素中毒(CO中毒)の危険性が高まります。
一酸化炭素を吸うと1分以内に脳が侵され身動きできない状態になると言われています。
以前にも長野県のリゾートマンションで、普段使っていない屋内設置ボイラーの煙突に鳥が巣を作ったのが原因で、一酸化炭素が屋内に充満し、子どもを含む家族が亡くなられたり、狭いアパートで、5号の湯沸かし器を長時間シャワーとして誤使用していた人が一酸化炭素中毒で亡くなると言った例があります。

配管の老朽化は地域や設置された条件によっても大きな差があります。
海の近くでは塩害であったり、鉄など金属の配管ではマクロセル腐食など思いのほか早く傷むこともあります。
リフォームをしたり設備機器類の交換などの工事をする場合は、古い配管を出来る限り新しいものに取り換える事をお勧めします。