認知症を誘発する白い部屋




白は緊張色?

今の日本では7人に1人が認知症になると言われていますが、数年後には5人に1人に増えることが予測されています。
その数字は他の国と比べても日本は断トツで、60歳を過ぎた私も人ごとではありません。

そこで認知症にならないための予防や工夫を考えています。
脳トレやウォーキング、心地よい緊張感を味わえる旅行などは認知症予防に効果があると希望を持って実践しています。
しかしそれだけではなく生活している家にも予防に繋がることはたくさんあります。

その一つが壁や天井の色です。
なぜ病院の壁や天井は白いのでしょうか。
それに加えてユニホームは白衣であったりします。
それらの理由は清潔感を意識したら白になったことのようです。

ところが最近の研究で、白は緊張感を高める事が分かってきました。
私の祖母も生前、90歳を過ぎてから入院した時、家では認知症などの症状は見られなかったものの、病院に入院して数日後から幻覚などの認知症状が表れ、退院して家に帰ると治まっていたと記憶しています。
それはおそらく、病院の白い壁と天井が原因であったと思われるのです。
少しの時間に適度な緊張感は人間にとっても必要だと感じますが、病院のように四六時中、白い部屋に閉じ込められては緊張から逃れる時間がないのです。
さらに病院の白は人間が持つ治癒力まで下げていると言われる人もいます。

そのような理由で最近の病院改修では壁も天井も白は使われず、ベージュなどに変わってきました。
女性看護師の白衣も白ではなく薄いピンクになっていたり、お医者様や男性看護師もブルーなどに変わったりしています。

何年か前、パナソニックの照明器具の説明会に行った時も、就寝前の白い光は深い眠りを妨げ、認知症を誘発するので、就寝前の状況では暗めの電球色が望ましいと教えて頂いたことがありあます。

これで一時期リフォームでよく使われた白を基調としたクロスや建具は高齢者に相応しくない事が分かります。
最近では若い人が白を好み、白基調のデザインにこだわることが多いと思いますが、子育て家庭にも悪影響を及ぼしかねないと感じています。
緊張感の高い白で覆われた部屋で子育てをすると、情緒の安定に影響を及ぼさないか心配なのです。

白い色をどこにも使ってはいけないと言っているのではないのです。
時には他の色を目立たす事を目的に使ったり、天井の圧迫感をなくしたり、空間を広く見せる時などにはよく使われます。
ただ白に囲まれてしまうと落ち着かず緊張感が高まってしまうようです。

白だけで認知症になるわけではないのですが、それでも高齢者の部屋だけは緊張感を和らげ、落ち着いた色合いでリフォームされることが望ましいと思われます。