新築かリフォーム(リノベーション)で迷ったときは?





あと何年その家に住もうと考えていますか?

新築かリフォームで悩まれている人は多くいらっしゃいます。
実際に悩んだ末に出した結論は何が切っ掛けになったのか、何を基準に導き出されたのかは人によって違いますが、考え方は同じです。

新築を選んだ54歳の方の例

築50年で床面積が50坪程度の親から譲り受けた家に住んでおられました。
何度か部分リフォームをされていて、子どもが独立をしたのを切っ掛けに大掛かりな全面リフォームを検討されていました。

残すのは基礎、土台、柱、梁などの構造材と屋根の垂木までで、外壁や屋根材、内装床は解体して間取りも新しくするリノベーション工事の見積もり依頼をすると2,800万円の予算が提示されました。
新築の見積もりを取ると予算は3,500万円(解体込みの総額)になり、その差は700万円で悩まれていました。
最終的に出された結論は新築ですが、その答えに至った理由は一つではありません。

新築に比べリフォームのメリット

リフォームをした場合のメリットは固定資産税が安いことに尽きます。
課税評価額が築年数に伴って安くなり固定資産税もたかが知れていますが、リフォームで新築のようにしても躯体を残すので固定資産税が上がることはありません。
もし新築にすれば固定資産税は最初の三年間が15万円前後で四年目からは倍の30万円程度は覚悟しなければなりません。
平均寿命程度生きるとして新築後30年間、固定資産税を払い続けた場合、おそらく500万円程度は払うことになります。

固定資産税や不動産取得税などを含めた損得勘定で考えると、新築に比べリフォームの方が30年間住むとして1,200万円以上お得になる計算です。

新築に比べリフォームのデメリット

リフォームの場合、固定資産税や不動産取得税(50㎡以上240㎡以下の住宅については1,200万円までの控除が適用)が低い分、家の価値が低いということなので、新築のようなリフォームをしても資産価値が上がりません。
リフォームに2,800万円掛けたとしても、その家の価値は低いままだということになり、もし売るようなことになっても高くでは売れません。

もう一つのデメリットが実質的な家の価値です。
内装や外壁、屋根などがたとえ新築のように綺麗になっても、基礎を触らなければ現在の耐震基準には到底及ぶものではありません。
50年前に建てられた当時は建築確認も必要なく、無筋のブロック基礎だったので耐震的には話しになりません。
更に古民家と言われる家に見られる太いケヤキ材なども使われてなく、精々4寸のヒノキ柱くらいなので、その価値も大きくはありません。

新築になった最大の理由

これから30年間住まなければならないことを考えれば、やはり耐震性は譲れないと新築することを決断されました。
リフォームでもブロック基礎を鉄筋コンクリート基礎にやりかえることは、技術的には可能ですがやはり高額です。
そこまでしてこの家の躯体を残す理由は見当たらなかったということのようです。

新築かリフォームで迷ったら基準にしたいこと

予算

リフォームといっても使う材料や程度によって予算はピンキリです。
工期も新築よりリフォームの方が長くかかり、解体も手作業が多いため割高です。
時には「同じ大きさの家でもリフォームの方が新築より高い見積もりになった 」といったこともあり得ます。

年齢、あと何年住むつもりなのか考えて見る。

最低でも30年以上住むつもりなら新築でもいいでしょうが、例えば15年や20年ほどしか住まないとか住めない理由があるなら新築にするのは無駄が大きいようにも思えます。

家の築年数と価値

家の価値は二通りあります。
一つは不動産としての価値です。
土地と家の不動産価値で、土地の価値は大きく変動することは少ないでしょうが、当然家は年数と共に価値が下がっていきます。
もう一つの価値は人によって異なりますが、その家の魅力といってもいいでしょう。
例えば古民家などは不動産価値はなくても、その魅力に引かれる人は多くいらっしゃいます。
また地震の脅威が気になる人は、昭和56年(1981年)からの新耐震基準に適合した家か、それまでの旧耐震基準なのか、あるいは平成12年(2000年)からの2000年耐震基準なのかによってその価値を見極める人も多いでしょう。
中には生まれ育った家に思い入れがあり、解体することに抵抗を感じる人も多くいらっしゃいます。

税金や助成金

新築とリフォームで大きく違ってくる税金は何といっても固定資産税です。
固定資産税に関して何の知識もなしに新築をしてしますと、その金額に驚愕される人もいらっしゃいます。
しかも固定資産税は不動産取得税と違って一回きりではなく、毎年払い続けなければならないので10年で100万円以上、家によっては300万円以上といったことも珍しくはありません。

新築でも住まいの給付金やゼロエネ住宅補助金、地域型住宅グリーン化事業など、結構大きな金額の補助金を受け取ることもできますが、満たさなければ頂けない要件があります。
同じようにリフォームも耐震や省エネ、介護などの助成金や、新築リフォーム共減税制度を利用することができます。

税金や助成金、減税制度には新築とリフォームでは当然クリアしなければならない条件や頂ける金額にも違いがあるので、市町村の制度も含め知識を得ることが重要です。

まとめ

新築かリフォームか迷ったら家づくりに必要な情報を集め、自分の価値観を再確認してみましょう。
動機や切っ掛けにもよりますが、思い切りも大事な要素の一つです。
小規模なリフォームを何回も繰り返し、30年程度過ぎて見れば新築ができる以上にお金を使っていたという話しはよく聞きます。