スレート屋根ほど高い屋根材は他にない




スレート屋根の生涯予算は馬鹿にならない

日本で最も普及しているスレート屋根は塗装などのメンテナンスをしないと劣化が早く雨漏りするようになります。

目次

1. スレート屋根のメリットはデメリットに変わる

2. スレート屋根はメンテを怠ると更に予算が掛かる

3. スレート屋根メンテと外壁メンテはセット

4. アスベストが更にスレートを高額にしている

5. リフォーム業に携わった者の独り言

1. スレート屋根のメリットはデメリットに変わる

スレート屋根のメリットは価格が安く、色も豊富で新しいうちは見た目が綺麗だということぐらいです。
確かに新築当初は予算を抑える武器にはなりますが、スレート屋根の寿命はメンテナンスをしなければたった10年そこそこです。
10年を過ぎると点検して15程度経過する頃までには塗装をしなければならなくなります。
屋根を塗装する場合も安全対策などで足場は必須になるのでメンテ予算も安くはありません。
スレート屋根が安いのは新築当初だけの話しだということです。

スレート屋根は多くの色から選ぶことができ、施工後の見た目は確かに綺麗です。
しかし、数年後劣化してくると特に北に面した屋根にはコケやホコリなどで汚れが目立ちとても綺麗だとは言えなくなります。

スレート屋根のもう一つのメリットが軽いことだと言われていますが、スレート屋根は軽くするために瓦などに比べ薄く作られています。
その結果、新築時の施工性はいいもののメンテナンス時は屋根の上を歩くだけでも割れのリスクを伴います。

2. スレート屋根はメンテを怠ると更に予算が掛かる

スレート屋根は仕上げ表面の塗膜が命と言ってもいいくらい塗装メンテが重要です。
夏の強い直射日光にさらされれば劣化時間も短縮します。
もし早めのメンテを怠れば、表面の塗膜を雨水が通り越し内部のセメント部に到達します。
そうなれば近年の濃度が高まった酸性雨によって更に劣化し強度も失われます。

特に北面は雨の蒸発が遅く、長時間留まるので苔などが生えて更に酸性雨に侵される時間が長くなってきます。
あまり劣化が進んでしまえば塗装メンテが手遅れになることもあります。

それらの理由から早め早めに塗装を行うのがスレート屋根の長持ちの秘訣なのです。
結局何度も塗装を行わなければならないのでメンテ予算は膨らんで当然です。

3. スレート屋根メンテと外壁メンテはセット

スレート屋根の塗装メンテを行う場合は安全確保のために足場を組みます。
その足場工事は例えば床面積40坪の総二階の家でも20万円前後くらいは掛かります。
そのためせっかくの足場工事を無駄にしないためにも、外壁の塗装メンテ工事を同時に行うのが通例になっています。

これらのことから、スレート屋根か外壁どちらかの劣化状況の早い方に塗装メンテの時期を合わせることになります。
そうなれば余計にメンテ時期は早くなり、メンテにかかるお金も多くなっていくように思われます。

特にメンテナンスを必要とする外壁材は窯業系と言われるサイディングです。
日本では80%のシェアを誇るこの窯業系サイディングもまた、80%の成分がセメントで作られているため表面仕上げの塗膜で雨を防いでいるのです。

スレート屋根と窯業系サイディングの劣化具合が異なるのは、直接直射日光や雨風を受ける屋根に施工してあるか、直接は雨に打たれない壁に施工してあるかの違いだと言えます。
そういった劣化に関わる理由からスレート屋根も窯業系サイディングも南側か北側かによって大きく劣化の症状やスピードに差が出るのは間違いないでしょう。

4. アスベストが更にスレートを高額にしている

平成16年(2004年)以降に家を建てられている場合はアスベストを使った製品の製造が禁止されているので心配することはないでしょう。
しかしそれ以前のスレートなどの建材にはアスベストが含まれている可能性が高く、処分にも高額な予算を必要とします。

アスベストを含むスレート屋根などの処分は厳しく規制されているので簡単ではありません。
屋根のスレートを取り外して処分するだけでも1平方メートル当たり3,000円以上はします。
その上運搬や経費を含めれば、新築時に屋根を施工した以上に高額な予算が必要なのです。

スレート屋根のリフォームでは、解体撤去せずにスレートを残したまま金属屋根(ガルバリウム鋼板など)を上から被せる工事もよく行われていますが、最終的には家の解体時にアスベスト処分をすることになります。

5. リフォーム業に携わった者の独り言

今ではアスベストが含まれているような製品は売られていませんが、耐震などで軽量瓦として販売されているセメントを主成分にしている瓦は個人的にお勧めできません。
劣化確認のために10年以上前に施工された屋根にも度々上がりましたが、歩いただけで割れたり既に割れてしまっていたスレート瓦を発見することも多くありました。

購入時の価格が安いというだけで生涯費用(メンテ含む)はこれほど高額な商品は他にないでしょう。
当然まだ製造販売されている商品も多くあるので、セメントではない物や耐久性を上げた製品も開発されています。
実際に屋根材や外壁材を選ばれる時には、目先の予算だけでなくメンテを考えた生涯予算で選ぶことをお勧めします。

昔に建てられた工場や倉庫の屋根にもまだまだ多くのスレート屋根が残っています。
しかしこれらのスレート屋根も最近の酸性雨で劣化のスピードが一段と早くなっています。
信頼できる街の屋根屋さんや、板金屋さん、リフォーム店に相談して雨が漏るまでに早めに対策することをお勧めします。

コメント

  1. 野口 圭 より:

    はじめまして。
    リフォームに関する情報サイトを運営しております、野口と申します。

    本記事中の一部を、以下の運営サイトの中で引用させていただきました。
    https://paintexteriorwall.com/roof/slate-roof.html

    事後報告となってしまい、大変申し訳ありません。
    もし不都合な点などございましたら、お知らせください。

    • saigayumezou より:

      スレート屋根の塗装費用はどれくらい?【見積り例で詳しく解説】野口様
      サイト拝見致しましたが何ら問題ありません。
      詳しく作り込まれたサイトにリンクを貼って頂いたことに感謝します。
      今後ともよろしくお願い申し上げます。