
Pixabayのjoakantによる画像です
片付けたいけど片付かない
片付けの原因は収納が少ないからではない
TVでビフォーアフターと言う番組が人気で私もよく見ています。
何とかの匠とか称される方々の知恵は「なるほど」と共感することも多く、リフォームの仕事をしていれば多くのアイデアを頂けます。
しかし中には「それはどうだろう?」と思えることもよくあります。
番組の企画上しかたないこともあるでしょうし、パフォーマンス要素も多く要求されるからかも知れないので批判するつもりではないのですが、ヒアリング不足と思えることや現状調査で気づいていればそうはしないだろうと思えることがあるのです。
特に思うことが多いのは、収納や掃除、メンテナンスに関することにあります。
例えば狭いとは言え段差を付けてまで作った畳フロアの下の収納にわざわざ片付けをしたり出したりするだろうかと思うのです。
私の経験から言えば片付けが出来ずに物が散らかっているのは、その家に収納が少ないからでも、片付ける場所が無いからでもありません。
片付けたり掃除をするのが苦手なだけなのです。
そんな片付けを苦手とする人が二つ以上の動作をしてまで収納したり出したりするとは到底考えることは出来ません。
これは現状調査に訪問すれば大体検討がつきます。
私はヒアリングの項目にも必ず入れるようにしていました。
片付けが得意なのか、片付けが好きなのか、または片付けが苦手なのか、片付けが下手なのかなどです。
このヒアリング内容はリフォーム提案にとって結構大事なことです。
前にも書きましたがキッチンプランでも片付け下手や苦手な方にフラットキッチンは提案できません。
そんな方には余程の理由が無い限り、対面カウンターキッチンを提案するのが基本だと考えています。
片付かない人にとって収納は隠すところ
私も片付けが苦手なので分かるところもありますが、そんな人にとって収納とは片付ける場所ではなく、隠す場所なのだということを認識しておくべきです。
もうひとつ例を挙げるとするなら、娘や孫が帰ってきて家族が増えた日だけダイニングテーブルの横を持ち上げ大きくするというアイデアです。
年老いた老夫婦には大変そうなので、たまに帰って来た娘の旦那さんに「帰って来た日は持ち上げて帰るときには必ず降ろして帰って下さいね」と頼んでおきたくなります。
おそらく年中持ち上がったままになっているのではないかと想像できます。
「三つ子の魂百まで」のことわざにあるように、家が綺麗に生まれ変わったくらいのリフォームでは悪癖の性分は変わらないのが普通の人なのです。
リフォームでは性分を見抜いた上で、最もその人に適した提案をする事が好ましいのです。
引退した今だからこそ本音でこのような事も言えますが、現役であればまさかお客様に向かって「あなたは片付け下手なようですから」とは言えません。
しかし誰も自身の事はある程度自覚しているものなので逆にお客様の方から言ってもらうのです。
「片付けは上手なほうですか?」とか「片付けは得意なほうですか?」と聞けば大概は逆の言葉が返ってきます。
謙遜された答えの場合には現状を見れば分かります。
綺麗に片付いていても「片付けは嫌いです」と言われる方もいますが、現状を見て綺麗ならば謙遜でしょう。
私のような片付け下手な人には、片付ける場所ではなく簡単に隠せる場所をつくることをお勧めします。
しかしリフォームを切っ掛けに片付け上手になりたい人は片付け術を身に着けて下さい。
※参考記事
https://reform.saigayumelife.site/2019/07/06/post-1631/
リフォームは片付け上手に変わるチャンス
リフォームくらいでは片付け下手な悪癖は変わらないと書きましたが、リフォームが片付け上手に変わるチャンスなのには変わりありません。
リフォームを切っ掛けに見違えるように片付けが好きになった人もいます。
どんな人なのかと言うと、今まで物が多すぎて片付ける気が起きなかった人で、元々は飾り付けや見せることが好きだった人です。
そんな人のリフォーム欲求の一つは、とにかくこの機会にいらない物は全て捨てること、そしてもう一つの欲求が好きなものを飾る場所を作ることです。
隠す収納を多く作ることではなく見せる収納を作ることでした。
部屋のクローゼットには扉を付けずに、オープンクローゼットにしたり、パントリーも扉を付けずにオープンパントリーを提案しました。
リフォームを提案する方としては、このオープン収納は他の意味からも理にかなった収納と言えます。
狭い収納部屋には空気が淀んで湿気やカビの原因になることが多くありますが、オープンにしておくと部屋と同じ湿度に保てます。
広い収納なら換気扇や窓を設置することもありますが、反坪から一坪程度の収納なら窓も設置することがないからです。
※参考記事